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夏の或る夜の夢の続き  作者: 横滑り木偶臣
第6章(花火と練乳・前編)
49/84

6-5

 草むらにマキちゃんを連れ込み無理に唇を奪った。


 ほんの一瞬の出来事なのに──何時間も一緒にいるように錯覚してしまう。


 このまま時間が止まってしまうような……


「あ……雨……」


 ざざぶりの雨がふたりの邪魔をする。


 このぶんだと今年の花火は中止か?


 下着までびっしょり濡れていた。僕は雨をしのぐ為にマキちゃんの手を握り、家ににむかって走った。都合良く両親は親戚の家に行ってる。


 やっとの思いで家にたどり着く。


 玄関を開け、真っ先にマキちゃんにシャワーを使わせた。


 風邪などひかれたら大変だし、こんなことになって不愉快でないか心配だった。とりあえず着るものを用意しなければならない。


 自分の使い古したジャージとTシャツ。少し躊躇いながらも男物の下着を用意した……着替えは他にない……


 ジャージに着替えたマキちゃんは、どこかいつものような元気がない。風邪をひいたのではないかと心配になり、そっと彼女の身体を抱きしめた。シャンプーの匂い。仄かに香るその髪。少し冷やされた身体。


 熱はないようだけど……


 マキちゃんは痒そうに足を少し擦りあわせた。


 ご免……水虫を移してしまったね……


「これ……少し大きいし……臭いよ……」


 上着のボタンをとめる僕にむかって、冗談でもいうようにマキちゃんはそういった。


 それだけで、僕は救われたような気持ちになった。

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