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〔Side.A 一人称〕
会場周辺のにぎわいは尋常じゃなかった。
こんな寂れた街によくもまあこんなにも人が集まってくるもんだ──
僕たちは屋台で買い食いをしながら、開催場所までの道のりを二人で歩いた。
マキちゃんは美味しそうにイカ焼きを口に運んでいた。
僕はいつものようにたこ焼きだ。
祭囃子が遠くから聞こえてきて、村祭りのような雰囲気醸しだしていた。
街のにぎわい──浴衣姿の女性たちが色鮮やかに着飾っていく。
いつも通りの普段着だった。
だけど、マキちゃんのその雰囲気は浴衣姿のどの女性よりもとても可愛らしいと、そんな風に僕の目には写っていた。
すっかり日は暮れていたが、花火の時間にはまだ少し時間があった。僕は川沿いを散歩することをマキちゃんに提案した。
「昔は、ここら辺をこうやって、よく歩いたんだ」マキちゃんがいった。
誰とそんなことをしたんだ──という疑念を必死に抑え、僕はこの道を真っ直ぐに歩く。
夏が終わるともうこんな幸せな日々は泡のように消えてなくなってしまうのだろうか?──そしてまた美樹さんとの異常な日常をくり返すのだろうか?
僕はマキちゃんの手を不意にそっと握り返した。田舎に暮らすとどうしても夏を短く感じてしまう。
稲穂が鮮やかな緑から芳醇な黄色に変わり、やがてゆっくりと帆を垂れる。8月だというのに、もうすっかり秋なのである。
残暑のなかで肉体労働をしたその後に、この光景を目の当たりにすると、否応無しにも夏の終わりを予感してしまうのだ。
そのことが僕をいっそう焦らせる。




