表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏の或る夜の夢の続き  作者: 横滑り木偶臣
第5章(PSYCHOTHERAPY)
43/84

5-7

〔Side.A 一人称〕


 僕は乾杯の合図も待たずに、ビールを一気に飲み干した。喉を伝ってアルコールが身体に流れ込んでいく。こんな暑苦しい日にこの男に呼びだされて、ある意味不快だった……


「お前、相変わらず、モテない感じだな」僕のすぐ横、ハゲ頭の三島圭吾がいった。ほっといてくれ。


「焼き鳥一丁!」店のマスターが雑に焼き鳥の皿を置く。場所はココナッツ。「なんだ、文句でもあんのか、この野郎!」


 この店の常連ではないマーコは、あまりにも雑な接客と汚すぎる店の外装に唖然とした表情──それでもビールは口元に運んでる。


 ユースケの奴はサボり、昔から三島とはソリがあわないのだ。


 僕はついさっき、三島にもらった名刺に目をやる。


 古物商。


 商店街の副会長もやってるみたいだ。


「今年の変態は酷いな」三島がいった。「風評被害で商店街の売り上げもダウンしている」


「なんで、毎年のことなのに、今年だけ風評被害受けてんだよ。いつものことだろうが!」とマーコ。


「夏祭りに変態が出てから、なんの影響なんだか売り上げガタ落ちなんだよ。これで花火の日に出やがったら、街の経済にもえらい影響する」


「君んとこは関係なさそうだけどな」僕はいった。「古物商も変態の影響をこうむるのか?」


「俺様はインターネットで手広くやってんかんよ」三島がいった。「影響ってほどのものはないな。けど、自分たちの街が変質者どもに汚されてるわけだからよう。頭にくる。今、商店街の連中で自警団を作るって話になってんだわ」


 物騒だなとマーコがいい、なんでそうなる、と僕は腹を抱えて転げそうになる。


「なにもしないよりマシだろ。警察なんぞ、あてになんないぜ、本当によう」


 バカ過ぎる……僕がそう思ったことが顔に出てしまったのだろう……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ