PLG2-1
〔Side.B 三人称〕
ミンミンと蝉の声が鳴り響く、2012年、夏、ある街での出来事。なにもない訳ではないが、なにかある訳でもないこの街で、今年も夏が過ぎ去ろうとしていた。
だけども暑くなってくると、決まって奇妙な奴らが出てくるもんで、それは毎年、決まって例外なく、この街でその事態は引き起こされてしまうのだった。
「助けて──!」と、海パン一丁にゴーグルをして、その男は走り去る。手にはたいそうに手錠をしているではないか──
「待て──逮捕だ!──逮捕する!!」
後方から全力で追いかけるもうひとりの男──姿形は警官の格好をしているが、まず十中八九、偽物であるその男は上空にむかって数発、拳銃を発砲、奇声を発しながら、一直線に街を駆け抜けていく。
それはどういった仕組みなのか?!──仕掛けも構造も、全てなにもかもわからない。
おそらく火薬かなにかを仕込んでいるかと思われる偽物のピストルの先端から、鮮やかな赤色の火花が飛び散り、爆竹のごとき銃声が静かな夜の街に響き渡る。
「キャ────!?」と若い少女の悲鳴。
この醜態を目撃し叫び声をあげる。薄い布地の夏服、ブレザー姿の女子高生は顔を背ける。目の前には一対の変質者たち……
夏の夜、街の片隅には、三者以外誰もいない。
「……じ、自分、ただの変態ですから……どうぞお構いなく……」
そういうと、謎のふたり組は走り去っていった。
なにかの模倣犯なのか?
それともただの愉快犯なのか??
10年前もまったく同じ出来事(???)が、この街では引き起こされていた。




