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「おう、来たか」マーコは葬式の後だったので、幾分かやつれた様子だった。
食欲のない僕はあまり腹に料理を詰め込む気にもなれず注文したのはざる蕎麦──蕎麦が運ばれてきて一気にそれを食い終わると、マーコから自然と店の愚痴や商店街の状況を聞かされた。
不況の波はこの街にも影響を及ぼしていた。店を切り盛りするのがいかに大変であるか、丈夫そうに見えても身体はボロボロであるということ、それからユースケのこと……
「あいつ……仕事……結構大変だったみたいだぜ……」マーコがいった。
要領がいいユースケも、それなりに苦労していたわけだ……
「なるほど、それで、あいつ、神経がまいっちゃったのか……」と僕はいう。「あいつのとった長い夏休みの理由が今になってよくわかるよ……」
ユースケの任されていたのはかなり革新的なプロジェクトだったらしい。しかし、会社の上層部による鶴の一声でそのプロジェクトは立ち消えになったという話だ。
「まあ、そうだな……」とため息をつくマーコ。「おっと、しんみりしてらんねえ。カミさんにサボってるって、後でガミガミいわれちまう。これから昼前の仕込みなんだ。恭司、お前ゆっくりしていってくれよな」
マーコは厨房の方に行ってしまう。
そういわれても……
僕は仕方なく店の端に積み重なってる週刊誌を読み漁る。ところどころ、ページが切り取られてある。エロページのスクラップだろうか?
おっぱい丸出しの熟女のページで、ポケットのなかの携帯が鳴った。
それは美樹さんからの電話。




