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夏の或る夜の夢の続き  作者: 横滑り木偶臣
第3章(L・O・V・E・い・関・係)
22/84

3-4

『藤原秀郷・平貞盛の連合軍は、幸嶋郡石井に迫っていた。将門は全将士一丸となって、これを迎え撃つ。最後の決戦が挑まれ、勝利は目前かと思われた矢先、突然、飛来した矢が将門の頭蓋骨を貫く。誰がこの矢を放ったのかなにも記録に残されてはいない。哀れ将門の最後であった。その夜、将門の居館は炎上しことごとく徒党は掃滅された。坂東は再び朝廷の支配下に組み入れられ戦いの後、将門の首は京の都に運ばれ七条河原に晒される。見せしめの為だった。不思議なことに首は何日経っても腐らなかった。そして夜な夜な怪光を発し続けるた。首はこう叫び続けたという。我が胴を返せ。胴とつないでもう一度戦いをせん。晒し者にされた将門の生首は三日目に光を放ち夜空に舞いあがり憎き敵の耳や目玉を食いちぎったといわれている。切り離された胴体を求め飛びまわる。いくつかに分裂しながら、関東のこの地に首は舞い降りたそうだ』


 彼は古びれた単行本から目を背けた。


 チョコレートのような甘い匂いの正体はカビである。君枝の平将門についての説明。歴史小説も相当読み込んでいるのだろう。


 将門は平安中期の関東の豪族で、自ら『新皇』を名乗り承平天慶の乱において朝廷に対して反乱を起こした人物である。


 将門の死後、首は京都の七条河原で晒され胴体を求める首が三日三晩夜空をさまよい続け、最後には関東まで舞い戻ったという逸話が日本各地に残されていると説明を受ける。


「これって東京大手町にある首塚のことでしょう? 将門については銅塚が城県坂東市の延命院の境内に残ってますよね?」


「首も胴体も死後ひっそりとこの街に運ばれたっていう伝説なんだよ」君江がいった。「戦死した将門公のご遺体は秘密裏にここに埋葬されたというわけさ」


「そんな滅茶苦茶な……北斗七星の形に神社を配置して協力な結界を作ったって話はなんなんですか……」


「詳しいじゃないか。でも、東京にあるのは偽物だよ。適当な紛い物さ。祟りの度合いが強い人物だったら別になんでもよかったんじゃないのかいね」


「……巫女殺しと首塚との関係が……それだとよくわかりませんが……」


「まあ、焦りなさんな。若者の悪いところは、表面だけかじって物事の本質を理解したつもりになっちまうことさ。要領だけよくっても、本当のことはなにもわからないよ」


 どうして、この年代の人間は順を追って物事を説明をしたがるのだろう?──彼はそう思った。要点をもっと簡潔にまとめてもらえないだろうか?

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