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夏の或る夜の夢の続き  作者: 横滑り木偶臣
第2章(15歳の夏に三人が仕出かしたこと、そして……)
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2-5

「おい、俺たちのラストソング、覚えているか?」学がいった。


 中学の学園祭で無理矢理にやった曲だった。


 三人のラストソングはペイシエンス。うるさい曲ばかりやっていた彼らしては、珍しくしっとりした曲をやったものだった。


「ガンズの曲だよな」


「あれ結局、誰が歌ったんだっけな?」


 ガンズ&ローゼズの名曲だった。


 洋楽のやかましい曲ばかりやっていたために、僕ら三人は同級生の女の子にはまったく相手にされない状況だった。


 そこで密かに計画したのは、3年の運動部の人気者を集めて、そいつらにヴォーカルをやらせるという作戦だった。


 美味しいところを全てこっちがかっさらい、文化祭を大いに盛りあげる戦略でもあった。


 まさに段どりだけは、完璧に組み立てていたのだ。あの日を思いだす──


     *


 夏のある日、茹だるような暑さのなかで、教室を閉め切ってバンドの練習をしていた。クーラーなんかありはしない。小ちゃな扇風機と団扇があるだけで冷房の類いは地元の学校にはなかった。否応無しに汗が滴り落ちる。


 耳を突き刺すような爆音が校舎に響いた。


 聞こえてくる音は中学には相応しくないもので、ギターがリフを刻むと爆撃音がアンプから鳴り止まない。


 だが、だがなぜだが調子があわない。暫くして、椅子を蹴り飛ばす音とともに人が教室から飛びだしてくる。


「恭司の癖に!」誰かがいった。


 歌詞を覚えてこなかったので、追い返されてしまったらしい。やりたい曲は洋楽ばかりなので、歌詞を覚えてくるのはとても難しかった。

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