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手をつないで
カオリが、「会いたい」とメールしてきた。
僕らはファストフードで待ち合わせた。
「ヒロミのことが好きなの?」
「ああ」
「そう…」
カオリは顔をゆがめた。
「お願い!私のこと、見捨てないで!」
泣きそうな顔で、カオリは言った。
「…外、出よう」
僕らは手をつないで、街を歩いた。
「…ありがと」
カオリが小声でつぶやいた。
「…ゴメン」
人の切れたところで、僕は立ち止まった。
「じゃ、ここで…」
僕は背中を向けて、その場を去ろうとした。
「待って!」
「…もう、無理だよ」
カオリのすすり泣く声が聞こえた。構わず僕はその場を去った。