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勘
放課後、ヒロミに呼び出された。
「待った?」
「いや」
僕らは街をぶらぶらした。
不意にヒロミが切り出した。
「カオリが好き?」
「えっ?」
あわてて僕が彼女を見ると、ヒロミはにこにこしている。
「でも、本当かなあ…」
ヒロミがクスッと笑った。
「どういう意味?」
「ユウジは、もう、あんまり、カオリのこと、好きじゃないよ」
「どうしてわかるの?」
「なんとなく、そう思うだけだけどね」
でも、まだ、ヒロミは自信あり気に笑っている。
それからしばらく、僕らは黙って、並んで歩いた。
「待ってもいいけど…」
「何が?」
「ユウジが動くの…」
「動く?」
「うん。自分に素直になるの」
…。
ヒロミがキスしてきた。
僕はそれを受け入れた。