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別世界
放課後。カオリとデート。
カオリは、時間を惜しんで楽しもうとする。
僕は、時間が余ってるから、カオリのそういうところに、いつもちょっと窮屈さを感じる。
公園のベンチでジュースを飲む。
「ゴメンね。バタバタしちゃって。いつもバイトで時間がないから…」
「気にしなくていいよ」
でも、カオリと僕は、別世界の人間のように思うときがある。カオリは、卒業して、社会に出ても、世の中とうまくやっていくんだろう。僕とは違う人種だ。
「ねえ…」
急にカオリが深刻になった。
「どうしたの?」
「ヒロミのこと、好きなの?」
「えっ?」
「ヒロミに言われたんだ。ユウジのこと、好きになったから、ユウジと別れて、って」
「そっか…」
…。
「僕はカオリのこと、好きだよ」
「ホント?信じていいの?」
「うん」
「よかったー」
僕らはキスした。