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エピローグ

「ここが最北端……なのだ…」


「スペードタウンとは……全然違うねー」


《さて、テムザ。我々は向こうに行くぞ》


『ちょっと! 分かっているから引っ張らないでよ!』


 ついに最北端に到着したリリーとタツヤ。この光景を見るために旅をしていたので感慨深い。フィンネルは2人の雰囲気を感じて、テムザを掴まえて移動する。


「あれは……!」


「んー、花?」


「カロルナンの花なのだ」


 リリーが見つけたのは、北の全てが海に向かって咲いている花。タツヤが何の花か尋ねると、リリーが花の名前を答える。


「それが見たくて最北端を目指していたんだねー」


「タツヤ、何で知ってたのだ!?」


「ビスタさんから聞いたー」


 カロルナンの花を見て想いにふけっているリリーに対して、タツヤが旅の本当の目的について聞く。驚くリリーに、タツヤはあっさり答える。


「花言葉は『幸福』なのだ……。最初は女性の夢、この花が欲しかったのだ。でも、タツヤと一緒に旅したことが私の幸福なのだ」


「僕も幸福だよー。地球からトロフに来て、一番最初に出会ったのがリリーさんで良かったー」


「タツヤ、ありがとなのだ……」


「僕もありがとー。それから、これー」


「私の杖なのだ!?」


「ちゃんと直してもらったよ。ポポさんから貰った大事な杖だからねー」


 リリーが目指したカロルナンの花は女性の夢。しかし、その幸福は旅そのものだと気づいた。それはタツヤも同じ。

 そして、タツヤにとっては花より大切な物を渡した。実は、リリーの予備の杖はポポからのプレゼント。キングタウンの数日間、壊してしまった杖を修理してもらっていた。


「タツヤと一緒に来れて本当に良かったのだ!」


「これからも僕がリリーさんを幸福にしてあげるー!」


「私もタツヤを幸福にするのだ!」


 タツヤとリリーはお互いに幸福しあうことをとっても楽しげに叫んだ。

 カロルナンの花は、決して1人の力ではたどり着けない場所にある。だからこそ、この花を協力して見るから、あの花言葉が生まれたかもしれない。




《リリーは良いパートナーを見つけたな。我輩の役目は一段落、……たまには神殿に顔を出すぞ》


 フィンネルは精霊達が住んでいる精霊神殿へサラマンダーと共に行く。


「リリーはタツヤとくっ付いて、嬉しいけど悔しいわ。良い男でも探そうっと」


 ビスタは親友の幸せを複雑な気持ちでいた。しかし、前向きに貴族のお嬢様は進んで行く。


「フッ、なかなか面白い旅だったぜ。俺も何か始めるか……まずは卒業だな」


 留年危機で無理やり参加させられたコッドン。旅を通じて、自分の世界が狭かったことを痛感。より広い世界を見るため、まずは魔法学園卒業を目指す。


「若旦那が作った料理を広めることが俺様の仕事!」


 ハンドルスは得意の話術を使って、タツヤの料理レシピを広める。誰も頼んでいないが、本人が幸せそうなのでタツヤは喜んで聞いている。


「新しい魔道具を考えなきゃ〜」


 あの騒動後、巨大化する魔道具は壊れてしまい、二度と動くことは無かった。アリスと一緒に再び考え、魔道具の発展を夢見る。ポポの奮闘は続く。


「若者の成長を見届けるのも悪くない……が、やはり地球の料理を極める!」


 料理長アンダーソンは、タツヤと会うまではヴァルラスの食材を極めてしまい、覇気が無くなりかけていた。しかし、地球の料理やタツヤというライバルと出逢い、若返ってきた。


「ギルドの緊急モンスターも減った。たまにはバカンスに行くか」


 上級冒険者のトド。各地で起こった小規模迷宮を探っていた。原因は、ブラックドラゴンによる南下。そのため、北にいたモンスター達が南に逃げてきた。今後は大丈夫だろうと考え、久々に羽を伸ばす。


『タツヤがくれた果物の種。魔法や環境のおかげで、すぐに食べれて満腹。ありがとう!』


 ブラックドラゴンのテムザは、毎日果物の世話をしている。タツヤがあげたのは、地球で売られている果物の種。トロフでは急激な成長が可能、3日で食べれて再び種が出来る。ドラゴン達の食糧難は何とか免れた。




「久しぶり、神様ー」


「久しぶりじゃ。サプライズで来たのに、あっさり挨拶するのは、お主ぐらいじゃのぅ」


 タツヤは夢の世界にいた。目の前には地球の神様。前に出会った時と同じく、相変わらず驚かないタツヤ。


「ヴァルラスの食糧不足は無事に解決しましたー」


「トロフ全体としては、まだまだこれからじゃが君の働きで充分事態は回復しつつあるのぅ」


 タツヤは神様の頼みであったトロフでの目的、食糧難を解決してきた。と言っても、いつの間にか解決していたので、何となく言っただけだった。神様もタツヤの考えは読み取り、とりあえず報告だけにしておいた。


「今回は神様に料理、作ってきましたー」


「ほっ?」


「僕が考えた地球とトロフを足した料理、マジックラーメンだー」


「どうやって、夢の世界に料理を持ってきたのじゃ?」


「リュックサックに入れといたー」


「ほっほっほ、一本取られたのぅ!」


 マイペースなタツヤは、いきなり料理を用意した。神様が戸惑うなか、ほかほかのラーメンが出てきた。

 最後までタツヤの斜め上を行く行動に笑った神様。ちなみにマジックラーメンは神様も驚くほど、旨かったことを記しておく。




「タツヤ、私が作った地球の料理を食べてほしいのだ!」


「地球!?」


「タツヤの大好物カレーライスなのだ!」


 最北端から戻ったリリーが最初に行ったのは、タツヤへの料理だった。今まで女子中心で集まって協力してもらいながら、特訓していた料理であり、タツヤの大好物。ヴァルラス食材で作ったトロフ初のカレーライスだ。


「美味しいーっ!」


「大好きなのだ、タツヤ♪」


「僕も大好きだよー、リリー♪」


 カレーライスを食べる満面の笑みのタツヤとリリー。タツヤはトロフでリリーと共に、幸せに暮らすのであった。おしまい。




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