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ドラゴンと戦闘

「こっちに居たか!」


「いや、居ない。もしかしたら、あっちか!」


「よし、行くぞ!」


 登り始めた朝日も入りにくいほど、視界が悪い森。首都キングタウンから来たギルドの冒険者達は、とあるモンスターを狩るために動いていた。


『くそ……。ニ、ニンゲン…め…』


 冒険者が去った後、草花の茂みから現れたのは子供の黒い竜。


『こんな……所で、お父ちゃん……助け』


「大丈夫ー?」


『!?』


 子供の黒い竜は無念と嘆き、父親に助けを求めながら動かなくなっていく。すると、目の前にタツヤがいた。


『ニ、ニンゲン……来るな!』


「はい、どーぞ」


 朝、ハートタウンで何故か女性陣が1日だけ自由行動をしたいと言いだした。男性陣は理由を聞きたかったが、無言の圧力を受けて了承した。

 1人トロフの食材を探していたタツヤは、小さな黒い竜を見つけた。かなり弱っているが、唸り声で威嚇している。しかし、タツヤはリュックサックから食料を渡した。


『美味い、美味い!』


「そっか、レインボーマウンテンではご飯探していたんだー」


『あそこは果物が豊富。だが……』


「………食糧難、思ったより深刻だね」


 最初はタツヤを警戒して食料を食べようとしなかった子供の黒い竜。しかし、自身の危機と食料の誘惑に負けて食べ始めると、止まらなくなった。

 その間、タツヤは子供の黒い竜から色んな話を聞いた。スペードタウンにあったギルドの掲示板クエスト、ブラックドラゴンがこの子だったり、レインボーマウンテンの果物が減少して絶滅し始めているなど。


『ニンゲン、特別に見逃してやる』


「ばいばい、竜さんー」


『竜さんではない。私は誇り高き黒魔竜、名はテムザ!』


「ばいばい、テムザー」


『フン!』


 やがて、子供のブラックドラゴンは満腹になって復活する。威厳を取り戻すが、竜さん扱いするタツヤに名前を轟かせる。笑顔のタツヤは手を振るが、テムザは礼も言わずに飛び去った。


「あれ? そういえば、テムザ言葉を話していた。まっ、いっかー」


 タツヤは今頃会話が成立していたことに気付く。雌の黒魔竜ことテムザも同じことに気付くのであった。




「出発ー」


「キングタウンまで行けば、最北端も近づいているのだ」


「コッドン、あんたはアリス先生の荷物運びまでじゃなかったっけ」


「ヘッ、ここまで来たら首都には行きたいからな。最北端には興味が湧かねえが」


 翌日、タツヤ達はハートタウンを出て歩く。ボルボッサ家の人々と別れて、4人はいよいよ首都キングタウンに近づく。コッドンも一皮むけて旅の面白さを感じ取っている。


「この山を越えたら首都キングタウン。一気に箒で行くわ!」


「「「おぉっ!」」」


 4人は箒に乗って空を飛ぶ。タツヤは相変わらずリリーの後ろ。どうも、バランス感覚が無くて箒の才能は無かった。


《リリー、街の様子がおかしい》


「キングタウンが襲われている!?」


 フィンネルが最初に異変を気付く。着いたキングタウンは、あちこちで黒い煙が発生している。今まで見た街で一番広くて建物がたくさんある。特に目立つのがヴァルラスの王が住む城。


「あれはブラックドラゴンじゃねえか!」


「父さん、母さん!」


「リリー、待ちなさい!」


 コッドンが驚く光景にはブラックドラゴンがたくさん飛んでいた。ビスタの叫びも聞かないまま、リリーは焦ってタツヤと一緒にハーリング商会に向かった。


『余は誇り高き黒魔竜グレンセル。お前達、人間の食糧を全て奪え!』


『『『『ハッ!』』』』


 テムザの10倍以上大きいブラックドラゴン。目的はヴァルラス食糧難による生命の危機。ドラゴン達は人間の食糧を奪いにきた。今も王城に向かって炎を放ち、人間達は結界で防いでいる。


『ギャオォォォッ!』


「リリー!」


「トド兄!」


「ポポから話は聞いている。親父とお袋は安全な場所に避難した。お前も早く避難しろ!」


 街の中をドラゴンが飛ぶなか、リリーはハーリング商会に向かっていたが、リリーの兄トドが現れた。タツヤの倍はある身長に、ボディービルダーのような筋肉、完全武装で巨大な剣を背中に担いでいる。ポポが言う可愛い弟とは180度違った。


「分かっ……」


『ギャァァオオオオォォォッ!』


「しまった!」


「リリーさん!」


 リリーが返事する時、上空からブラックドラゴンの炎が放たれた。トドは完全な不意討ちで剣を出すことも出来ず、当たった衝撃に備えた。タツヤは咄嗟にリリーを抱き締めて庇う。


「風の上級魔法トルネード・ストライク」


『ギャオォォォッ!?』


「助かった!?」


「俺様、参上! 若旦那、助けに来たぜ!」


「ハンドルスさんー!」


 ドラゴンの炎を吹き飛ばしたのは、かつて出会った黒ずくめ服のハンドルスだった。何故かタツヤを若旦那と呼び、詐欺師であった雰囲気が全く無くなっている。街はギルドを含めて100人の魔法使いが戦っている。


「リリー急げ、そこの小僧も行け!」


「ありがとなのだ、トド兄!」


「神様の言う通り、とんでもないことになってきたー。僕が出来ることは……」


 ドラゴンはトドとハンドルスが戦い、リリーは感謝。しかし、タツヤは地球の神様が言っていたことを思い出しながら、何か出来ることを考える。




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