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アリス先生とコッドン

「そろそろダイヤタウンなのだ」


「楽しみー」


《まずはアリス先生に挨拶だな》


 魔法の箒で北に向かって空を飛ぶタツヤとリリー、隣に浮かぶフィンネル。いくつかの山を越えて、ダイヤタウンが見えてきた。ダイヤタウンは魔法学園が有名な街。学生が多く若者の街でもある。


「リリー!」


「あ、ビスタなのだ」


 リリーはダイヤタウンの入り口に着地する。


「あれ? ビスタさん、僕達より後からスペードタウンを出たのに、何でダイヤタウンにいるの?」


《ビスタの魔法の箒は高級品。リリーの箒の3倍のスピードが出せる。恐らく我輩達より速く着いたのは箒のおかげだろう》


「なるほどー」


 タツヤはビスタが何故ダイヤタウンに居るか疑問に思った。フィンネル曰く、魔法の箒が良いようだ。


「すごいニュースよ、詐欺師ハンドルスが自首したのよ!」


「《「えっ?」》」


「何でも突然ギルドに捕まりに来た、って話で今まで騙したお金全て提出したらしいわ。10日間ぐらいの牢獄だって、全くギルドも甘いわね〜」


 ビスタの話に驚く3人。しかし、ビスタは気付いておらず話を進めていく。


「……約束、守ってくれたのかー」


「……良かったのだ、タツヤ」


《……感慨深いな。人間、変われば変わるものか》


「え、何この空気?」


 タツヤとの約束を守ってくれた以上のことをしたハンドルス。小さく喜んでいるタツヤを気遣うリリー、フィンネルは感動している。ビスタはようやく気付いて仲間外れになっていた。




「アリス先生!」


「これは珍しい、リリーちゃん、ビスタちゃん。そちらは初めましてだね」


「タツヤです、よろしくお願いしまーす」


 リリー達は魔法学園に入る。在学生なので普通に入れて、タツヤは客人として入っていく。アリス先生を訪ねて挨拶をする。アリス先生は背が高くてスタイルの良いポニーテールで活発な女性。


「チキュウから来たタツヤなのだ」


「チキュウ? チキュウとは、あのチキュウ?」


「そうなのだ!」


「リリーちゃんは……嘘はつけないね。ビスタちゃんはつくけどね」


「先生、それはどういう意味でしょうか?」


 リリーが嬉しそうにタツヤを紹介する。地球は最近のニュースだが、トロフから一番遠い星。アリス先生は少し疑ったが、リリーは純粋むしろビスタが腹黒と思っている。ビスタはジト目でアリス先生を見る。


「それはさておき。チキュウはどんな所ですか、タツヤくん?」


「地球は青い海がいっぱいな惑星、このトロフに似ていて自然豊か、魔法は無いけど科学が発達している良い所ですー」


「…………ふむ。大丈夫そうだね」


 ビスタをスルーしたアリス先生の右目が金色に変化する。タツヤは故郷の惑星を簡単に説明、それを見ていたアリス先生は右目を戻す。金色の右目は相手の嘘を見抜ける。




「先生、質問なのだ! タツヤが初級魔法を放ったら上級魔法みたいになったのだ!」


「ふむ、それは興味深いね。さっそく魔力量を測ってみようか」


「お願いしまーす」


「ポチッとな」


 リリーはタツヤの魔法についてアリス先生に聞く。魔力測定機を用意してタツヤの魔力量を測る。


「どんどん伸びるのだ」


「メーターが振り切るかも」


「素晴らしい魔力量だ。これは召喚補正が働いているみたいね」


 魔力測定機は体内にある魔力を数値化する。メーターは最高99999。これは魔力をポイントを変える魔力変換システムと同じ。リリーとビスタが驚き、タツヤの魔力量は90000を越えて、ようやく止まる。それを見たアリス先生の説明が始まる。


「召喚補正ー?」


「そもそも召喚魔法は、遠くにいる生物を目の前に持ってくるには魔力が必要。遠ければ遠いほど、たくさんの魔力が必要になる。そして、一時的に魔力が召喚した生物に備わる」


「へー、召喚魔法ってそんな効果があったのね。あたしもタツヤのような魔法を出せるのかしら?」


 タツヤの疑問に丁寧な召喚の説明をするアリス先生。ビスタは思ったことを想像してみる。


「ビスタちゃん、一時的だから効果は薄いよ」


「あらま。まあ、そんなことが出来たら誰でも上級魔法が使えるわね」


「タツヤ君の場合、チキュウという遠い遠い場所からの召喚だったから、身体に一時的なたくさんの魔力が染み込んでしまったと思う」


「それで上級魔法レベルのような威力が出せたのね」


 一時的な魔力増強は、普通の召喚ではあまり効果が無い。タツヤのような、あり得ない距離による召喚だったから、ビスタも見た初級魔法による上級魔法が可能。


「でも、すごい疲れるよー。体が空っぽになったみたい」


「貯まっていた魔力が一気に抜けたからだね。しばらくは魔力を安定させるために継続的に出すのが一番だね」


「ありがとうございますー」


「ありがとなのだ、アリス先生」


 上級魔法を羨ましがる周りだが、タツヤにとっては疲れて倒れるので、あまり好きじゃない。しかし、アリス先生の対策話に納得して、タツヤと一緒に感謝するリリー。




「リリーちゃん、最北端を目指すならこの荷物をクローバータウンに届けてくれない?」


「クローバータウン?」


「クローバータウンは、結構遠いのだ。スペードタウンからダイヤタウンに来る距離より遠いのだ」


 アリス先生は、リリーから最北端への旅をしていることを聞く。魔法学園はテストが終わったばかりで長期休暇で大丈夫。クローバータウンはかなり遠く、準備を整えようと考えようとした。


「ちぃーすっ」


「そうだ、コッドン君も一緒に行ってください」


「あん? 何だ、いきなり」


 髪型がオールバックのツンツン頭のコッドン。かなり背が高くガタイも良い。ただ、言葉遣いは荒っぽい。


「この荷物をリリーちゃん達と一緒にクローバータウンへ届けてくれない?」


「俺は嫌だぜ。こんな弱い女ばかりと面倒事に興味ない」


「でも、コッドン君は問題ばかり起こして進級が出来るか微妙よ。この事を評価に入れてあげるから」


「チッ、ならコイツが俺に勝ったら一緒に行ってやるぜ」


「ほへ?」


 アリス先生はコッドンをリリー達と一緒に行かせようとする。見下す態度をとったが、留年危機を言われて困っていると良いカモを見つけた。それはタツヤだった。




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