1を削ることの違い
近年では特に企業でも国策でもコストダウンが叫ばれ、色々な予算が削られていっています。
その中で心配なのが、3を2にすることと、2を1にすることの違いを分かっていないような人間がコストダウンを叫んでいることです。
3を2にするのであれば、2のうちの片方が駄目になっても、1で耐えている間にもう片方を復旧することができるでしょう。
しかし、元から1しかないのであれば、それが駄目になったとき、復旧までそれが関わる作業すべてがストップしてしまいます。
確かに無駄を省くことは必要ですし、場合によっては2を1にするようなやり方を取らざるを得ないときもあると思います。
ですが、重要な部分ではなかったとしても、2を1に減らすようなやり方は絶対に避けるべきです。
そもそもそういった無駄の中には、安全を確保したり、安定して物事を進めるための余裕も含まれていることがあります。
最低限仕事が回る、ということと、安定して仕事が回る、ということとは微妙に違います。
最低限の人員を確保しただけでは、イレギュラーな事態に対応仕切れません。
安定して仕事が回るだけの人員をしっかり確保しきっているのであれば、イレギュラーな事態にも対応できるでしょう。
コストダウンとは、安定を確保しきるために必要な最低限のコストよりも大きなコストを使っているときにのみ行えるのであって、決して最低限仕事が回るというレベルまで予算を削る、ということではないと思います。
そういった勘違いから今の企業の黒さは生まれているのではないでしょうか。
人間は機械ではありません、余裕を持たせておかなければ、とっさの事態への対応が遅れたり、危険を見過ごしてしまうようなことが多々あります。
余裕なんて持たせておけば怠ける人間が出る、という意見があるかも知れませんが、そういった人間にもやる気を出させる、あるいはクビにする、というような対応をしっかりすることも企業経営なのではないでしょうか。
利益を多く上げるための手段は、決してコストダウンだけではありません。
コストを削る前に、まずその仕事のコストを本当に削ってもいいのかをしっかりと見極めるべきではないでしょうか。