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☆「ある騎士と、私」☆
今日はお姉さまと騎士様がお茶会を開くらしい。
お姉さまは昔から、強くたくましく、賊から市民を守る騎士に憧れを抱いていたので、念願が叶ってそれは嬉しいことであろう。
と、思ったが何と叔母様が事故にあったらしい。
お姉さまは叔母様が大好きで、聞いたところによると大した怪我もしていないと言うが、それでも心配で飛び出していってしまった。憧れの騎士様に会うよりも、大切な叔母様の大事のことを優先するお姉さまが、私は大好きだ。
ただ、その騎士様には悪いことをしたな、と思ったのだが、執事のアントニオによると、お母様がきちんとおもてなしをすると聞いて、私は安心して過ごすことが出来ると思ったのだが、ことが何やら変な方向に動き出した。
部屋に引きこもってばかりいる私に郷を煮やして、お母様がその騎士様に私を合せると言い出したのだ。
余計なことを。
部屋を訪れた騎士様は、街中何かでは見たことが無いくらいに大きくて怖そうな人で、しかも無言でこちらを見つめて来ているので、あまり顔を上げることも出来ない。
どうしようか、これ。