表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

★「ある騎士の説教」★

「このままじゃ駄目だと思いますの!」


「……何だ、いきなり」


 休日に、というか連日家で引きこもって鍛錬ばかりしていた俺の元に、妹が急に訪ねて来たのは、寒さが若干和らぐ昼下がり頃であった。


 慌ただしく部屋へと駆けこんで来た妹に、苦笑を覚えながらも、お茶の準備をし、いざ話を聞き出してみた矢先に言われたことが、これだ。


 結婚して多少は治るかと思えた妹の直情ぶりは、二人の子をなした今でもまるで治っていなかった。夫である妹の幼馴染が、彼女を甘やかしすぎているのだろう。困るのは彼だろうに、それが彼女の魅力だからと朗らかに笑うばかりだ。何だかんだいって、お似合いの妹夫婦ではあるが。


「お兄様、いつまでこうしている気でいらっしゃいますの?」


 何のことだ、と思ったが。引きこもってばかりの兄に、家の体裁が悪くなると思って、注意を促しにでも来たのだろう。直情型ではあるが、基本気回しの効く妹は、何かと俺の面倒をみたがる。迷惑と思ったことはないが、それこそ面倒をかけているなと思う。


「あぁ、すまない。しかしそう心配せんでも、あとせいぜい半月程度の我慢だ。それが過ぎればもう仕事にずっと付ける」


「何を言っていますの?私が言っていますのは、一体いつになったらお兄様のお嫁さんを、私が見られるのかという話です!」


 ……そっちか。


「あぁ、それもそのうちな」


「そのうちじゃありません!折角王都に来たのに、女性の一人でもひっかけないでどうしますか! お兄

様、こっちに来られたのはチャンスですのよ? かの王太子付騎士団に着任なされたのですから、女性の方々には人気が出る筈なのです! お兄様は……私は平気ですけど、女性にあまり近づき難い顔を成されているのですから、この機会を逃したら永遠に婚期を逃してしまいますわよ?」


 色々ずばずば言う奴だ。


 そしてこの問題もあった。妹の奴は俺の婚姻関係に関して、俺が田舎に引っ込んでいる間から、口すっぱくして言ってきていた。ここ数年少しは平穏だったのだが、俺がこっちに来たのに際し、また妙な燃料を灯火したようだ。


「それで、ですね」


 妹の目に怪しい光が灯った気がして、俺はぞっとした。


「お兄様には少しは女性の扱いに慣れて頂こうと、私の友人に紹介なさることにしました。五日後に面会予定なので、それまで少しはその準備をして置いてください」


「っおい! ちょっと待て!」


「待ちません。ご安心ください。その方はとても穏やかで、お兄様のことでも恐らくは怖がらないお優しい方ですし、婚姻済なので口説く必要もありません。ただ優しく、紳士的に会話なさってエスコートすればよろしいのです。最初はこんなもので、そこから女性の交友関係を徐々に広げて頂きましょう。くれぐれも、粗相だけはないようにして下さいね?お兄様」


 ……こうなった妹の説得が、非常に難しいことを俺は知っていた。



とりあえず3話放出。


あとは明日からまた上げようと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ