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☆「ある並木道で、二人で」☆
「ふんふんふふ~ん」
「……やけにご機嫌層だな」
「うんー?」
風は冷たくて、だけどぽかぽかと温かくて、ぬくぬくとした日差しの中。私はごつごつと固い肩に担がれていた。
大きくて固い筋肉を持つ騎士様が、低い声で、頭越しに私に訊ねてくる。
「うん。今とっても楽しいよ」
「そうか……今は、楽しいのか」
「うん、楽しいーよー」
「……そうか」
ぐっと、騎士様の肩が下がった気がした。
「どうしたのー?」
「……何でもない」
「?変なのー」
下がったせいで、もう少しで届きそうだった木の枝にも、美味しそうな果実にも手が届かなかった。
残念。