怪異撲滅部隊
夜の廃墟を徘徊する二人の男がいた。
黒い戦闘服にガスマスクを装着する彼らは、銃火器を手に廊下を進む。
前に立つ男、阿南は忌々しげに悪態をついた。
「……チッ、空気が淀んでやがる」
「それはそうでしょう。怪異の影響が出ている証拠です」
後方を守る三森は冷静に述べた。
それでも阿南は大げさにため息を吐いて喚く。
「面倒くせえな。さっさと帰って飲もうぜ」
「おや、禁酒していたのでは?」
「もうやめたよ。こんな仕事で健康を気遣っても意味ねえだろ」
「いやいや、そうでもありません。日々の積み重ねが心身を形成し、やがて大きな差を――」
三森の言葉を遮る形で、前方に白い衣服の女が出現した。
顔面がドロドロに溶けた女は、この世のものとは思えない声を発しながら、四肢を使って廊下を駆けてくる。
「あvrsmvjraridtsfkstortbj:じえrじゃえ:めかw:sbtmdj:あcae,:s」
「日本語喋れよ、クソッタレ」
阿南は躊躇なく発砲した。
アサルトライフルから放たれた弾は正確に女を撃ち抜く。
銃撃で仰け反った女は、長い髪を掻き毟って絶叫した。
「えうめじぇfjpw! A:wj4fm:pag……っ!」
「どうやら怒っているようですね。先制攻撃が失敗して不服のようです」
「知るかボケ。このまま殺そうぜ」
「作戦は?」
「俺が突っ込む。お前は援護だ」
「ふふ、いつも通りですね。了解です」
阿南が宣言通りに突撃した。
彼はライフルを連射しながら吼える。
「死ね! クソ怪異がァッ!」
容赦ない銃撃が女を蜂の巣にする。
ライフルが弾切れになれば、即座に散弾銃に持ち替えてまた連射した。
次々と浴びせられる銃弾によって、女は瞬く間に原形を失っていく。
「はっはっは! 馬鹿が! てめえごときが俺に勝てると思ってんのか!」
「avjsirvmrjgst/,bikt]dbpz:ps!」
満身創痍の女が阿南に組み付こうとした瞬間、三森が脇から狙撃銃を構えた。
「これで終わりです」
亜音速の弾丸は女の額に風穴を開けた。
動きを止めた女は端から崩れて消滅する。
それを見届けた阿南は三森に食ってかかった。
「おいおいおい! なんでお前がとどめ刺してんだよ!」
「合理的な判断に基づく攻撃でした」
「難しい言葉で誤魔化すな!」
言い争う二人はそのまま三森の自宅へ赴き、浴びるほどの酒を飲んで寝た。




