Los ojos de Fuccia
俺の名前は黒子翔介…。
普通の高校生で、野球部のキャプテンをしている。
――これが俺の人生で一番「面白い」部分だと思う。
……もし秘密がなければ、の話だけど。
実は俺には娘がいる。
ただ、普通の高校生として静かに暮らしながら、できる限り彼女を育てようとしているだけだ。
高校生としての普通の生活と、父親としての役割。
――そんなの、どれほど難しいっていうんだ?
物語は、ごく普通の町の一角にある、一軒の家から始まる。小さな庭と石の壁に囲まれたその家から、一人の少年が姿を現した。彼は学生服を身にまとい、背中にはリュック、腕には大きな荷物を抱えている。家を出た瞬間、彼は勢いよく走り出し、そのまま学園へと向かった。
正門を避け、裏手の林のような場所から校内へと入る。そのとき、少年が抱えている荷物が小さく動き出した。彼が視線を落とすと、そこにはぽっちゃりとした赤ん坊がいた。雪のように白い肌を持ち、短くて艶やかな黒髪。半ば眠たげな優しいまなざしの瞳は、美しいフクシア色に輝いている。
丸く小さな頬はほんのり桃色に染まり、右側の髪には小さなリボンが結ばれ、そこから細い毛束が小さなポニーテールのように揺れていた。後頭部にはピンク色の大きなリボン、右側の前髪には同じ色の小さなヘアピンが二つ。さらに、口にはピンク色のおしゃぶりがついている。
フードをかぶり、顔を見せようとしない少年は、小さな子を見つめながら微笑んだ。すると、その子は小さな両手を伸ばし、彼の顔に触れようとする。
数分後、彼はある建物にたどり着く。それはどうやら保育園のようだった。少年は建物に近づき、正面の入口から中に入る。中は子どもらしい飾りで彩られた廊下が続いており、歩みを進めるにつれて幼い笑い声が聞こえてきた。
やがて一つの教室にたどり着くと、そこには数人の女性たちがいた。それぞれが赤ん坊を一人、あるいは複数抱えており、教室の中にいる誰かと話しているようだった。女性たちは少年に気づき、こちらを振り向くと、にこやかに微笑む。そのうちの一人が声をかけた。
「おはよう、クロコくん。今日も早いわね。」
声をかけたのは黒髪で茶色い瞳の女性だった。彼女の腕には、小さな赤ん坊が抱かれている。その子は母親と同じ黒髪に、緑色の瞳をしていた。
少年は女性たちの前で立ち止まり、フードを下ろして顔をあらわにする。引き締まった体つきで、髪は短く刈り込まれた両側と、碗のように丸みを帯びたウェーブのかかった前髪。いくつもの束が跳ねるように揺れ、ところどころ灰色の光を帯びている。眠たげで退屈そうな目つきが印象的で、その存在感は大きい。両手には固いマメが浮かんでいた。
少年は表情を変えぬまま口を開く。
「おはようございます、先生。翔子は昨日あまり眠れなくて、今日はすごく遅く起きてしまったんです。」




