磁場の檻を破る雷
【第三章 牢獄防衛戦】
ボーダー本部地下深く――
そこには、捕縛された裏切り者・豹画が拘束されていた。
重厚な扉の前に立つのは、第5隊隊長・雷堂迅。
「ま、ここに来るってわかってたけどな……」
迅は壁にもたれ、耳を澄ます。
――その時。
「よぉ、やっぱいたか。雷堂迅。」
闇から現れたのは黒髪の男。左腕に装着した黒鉄の籠手が鈍い光を放っている。
「悪魔幹部・シオン……豹画を奪い返しに来たか。」
シオンは口角を上げ、肩を竦めた。
「任務だからな。ただし、遊びに来たわけじゃねぇ。そこをどいてくれるなら楽なんだが?」
「……悪いが、ここは通さない。」
「そっか。――じゃあ、仕方ねぇな。」
籠手に電撃が走り、それがすぐ磁力へと変換される。空気が歪み、周囲の金属が勝手に震えた。
「ここで倒す。それが俺の仕事だ。」
迅もまた雷光を纏い、前に出る。
⸻
開戦
一瞬で間合いが詰まる。
迅の稲妻がシオンに迫るが、磁力の壁がそれを逸らす。
シオンは逆に周囲の金属片を浮かせ、磁場の槍のように放った。
「くっ!」
迅は稲妻のステップでかわすが、背後の壁が磁場で崩れ、逃げ道を塞がれる。
「磁場は電気の兄弟だ。雷使いには相性抜群だな?」
シオンは不敵に笑い、さらに磁力嵐を強めた。
迅は反撃に出るが、雷撃は籠手に吸収され、逆に反転して押し返される。
「おいおい、その程度かよ?」
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極地発動
迅は息を吐き、決意を固める。
「……じゃあ、本気で行くか。」
「極地――紫電変性!」
バチバチバチィッ!!
迅の身体が紫電に分解され、完全に雷そのものと化した。
「おお、極地か。だが――それでも磁場の檻からは逃げられねぇ!」
⸻
極地状態の猛攻
「電遁!」
迅が雷粒子となって姿を消し、瞬時にシオンの背後へ。稲妻の蹴りが籠手に直撃し、火花が散る。
「ちっ……速ぇ!」
「まだだ――瞬電!」
再び姿が掻き消え、今度は天井から落雷のような一撃。シオンの磁場が軋む。
「仕上げだ――紫電散方ッ!!」
牢獄全体を覆う無数の雷光が襲う。
しかし――
「残念!磁場展開・全吸収!」
シオンの磁場が雷撃を飲み込み、無効化。
さらに金属の嵐が一気に逆流し、迅を押し返した。
「終わりだ、雷堂迅!」
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極地の限界
迅の雷光が弱まる。
極地は10分が限界――身体が崩れかけていた。
(やばい……これ以上は……)
シオンの籠手が光り、決定打が迫る。
その瞬間――
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精神世界
暗闇に雷鳴が轟く。
黄金の瞳を持つ巨大な麒麟が現れた。
“ここまでか、雷堂迅。”
「……麒麟……!」
“極地の限界は超えられぬ。だが問おう――お前はこの力を何のために使う?”
迅は迷わず答えた。
「悪魔を討ち、仲間を守り、平和を作るためだ!」
麒麟の瞳が細められ、雷雲がうねる。
“ならば貸そう。我が真の雷を――共に未来を切り拓け。”
⸻
麒麟解放
現実に戻った迅の全身から、桁違いの雷光が爆発。
背に雷の鬣、額に角が伸びる。瞳は黄金に染まり、麒麟の神威を宿す。
「なっ……何だその姿は!?」
「――ここからが本番だ。」
⸻
圧倒的な逆転
麒麟化した迅は完全に磁場の干渉を超える速度で動き、背後を取る。
「瞬電!」
シオンの防御が間に合わず、雷撃が籠手を破壊。
「まだだ――紫電散方!」
今度の雷は神雷。磁場ごと粉砕し、シオンの身体を感電させた。
「ぐっ……これが……幻獣種の……力か……」
崩れ落ちるシオン。
⸻
戦闘後
麒麟化を解いた迅は息を整える。
牢獄の奥で豹画が睨みつけているが、迅はただ言った。
「ここは通させない。」
麒麟の声が脳裏に響く。
“忘れるな、迅。この力は守るためにこそある。”
迅は静かに頷き、倒れたシオンを見下ろした――。
今回は迅メイン回を書きました
結構このキャラを好きです!
一応今のところ最終回までのストーリーは頭の中で作成できてます
次も不定期です!