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六話 ブチギレ系柴犬

「お前、本当にしばのことが視えてるのかワン……。最初は適当言ってるだけかと思ってたワン」

 高音の声が聞こえる。声自体は可愛いが、敵対心が全く隠されていない。


「市川さん、一応確認っすけど、柴助の声聞こえます?」

 理人は市川の方を見る。


「いやいや、聞こえてない。理人君には聞こえてるの?」

 市川は驚いた様子だ。


「そうっす。瀬名さん、俺から悪い人はいないこと伝えてみるっす」


「はい! お願いします! 柴助! ちゃんとお話聞くのよ!」

 白百合は上を見上げながら、柴助に注意する。ただし、柴助は白百合の右隣にいるが……。


「柴助さん、あなたが今回の不眠や悪夢を引き起こしてるんすか?」


「下等なオスが話しかけるなワン。発情したオス共が白百合に近づくだけで虫唾が走るワン」

 柴助はキレ気味に理人に話す。


「ちょ、怖ッ! 柴助さん口悪すぎっすよ。何でそんなにキレてるんすか?」


「柴の大事な大事な白百合が色んなオスに迫られていたら怒るのも当然ワン」


「あ~。つまり、柴助さんは色んな人に告白されてるのが気に食わないんすね?」


「何言ってるんだワン! 柴だって、白百合に見合うオスだったら、気にしないワン。むしろウェルカムワン! でも、今までに近づいてきたオス共はそんなに仲良くもないくせに、馴れ馴れしかったワン。それどころか、一度も話したことないオスも来てたワン。お付き合いってのは、ちゃんとお互いを知った上でするべきワン!」


「それは……。柴助さんの言う通りっすね。まあ、俺個人の考えっすけど。それじゃあ、見合わないオスだったから、追い返すために悪夢を見せたりしたんすか?」


「そうだワン。白百合のことが心配過ぎて、柴は死んでも死にきれなかったワン。霊体となってからは、現実世界のものに触れることはできなくなったけど、悪い氣を送ったり、悪夢を見せたりはできたワン。白百合に二度と近づかないように、ある程度の期間悪夢を見せてやったワン!」


「なるほど……。柴助さんの気持ちは分かったっす。でも、悪夢を見せ続けたり、体調を崩させるのはやり過ぎっすよ!」

 理人は声量を上げる。


「何言ってるワン! そのくらいしないと、あいつらオス共は何度だってやってくるワン。柴は白百合を守らないといけないだワン!」


「……白百合さんの気持ちは聞いたっすか?」


「白百合の気持ち……? そんなこと聞かなくても分かるワン! あんな、人との仲良くなり方がおかしいオス共を白百合は絶対に選ばないワン!」


「それは、白百合さんが決めることっすよ……? 柴助さん。あなたはその機会を奪ってしまってる。ましてや、相手を体調不良にまでしてる。そんなこと、白百合さんが望みますか?」


「知ったような口を利くなワン! 白百合は昔から優しい子ワン! 何度もしつこく来られると怖がってしまうに違いないワン!」


「白百合さんと一緒に過ごした時間は柴助さんの方が長いでしょう。でも、だからって、本人の意思を聞かずに勝手に決めれることじゃないっすよ! それに何度もしつこく来るとも限らないし、話す中で仲良くなれるかもしれないじゃないっすか!」


「うるさいワン! 白百合を守るためなら、柴は何でもするワン!」


「分かったっす。じゃあ、本人に聞いてみましょう。……白百合さん、あなたは例えば告白された時に断ったとして、その人が今後近づけないように柴助さんに助けてほしいっすか?」

 理人は白百合に視線を移す。


「それは今、幽霊騒ぎになってる件ですよね。そうは思わないです~。自分のことは自分で決めたい。それに、柴助には幸せに自分の道を歩んでほしい。私にばかり構わないでほしいです~」

 白百合はゆったりした口調だが、芯のある声で答える。


「なっ……! 柴はいらないことをしてしまっていたのかワン……。白百合、柴は……柴は勝手な考えで、白百合に迷惑を……。こんなのじゃ、霊体になった意味なんてないワン…………」

 柴助はだんだんどす黒い氣を放っていく……。


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