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五十二話 精神修行研修 五日目! Re.ハリセン組手!

 精神修行研修五日目。


「おう! てめぇら、元気か! 今日はみんな大好き、ハリセン組手だ! 昨日に滝行をして意識も変わっただろ⁉ その成果をハリセンで魅せてみろ!」


 最上の響き渡る声が皆をビリビリと震えさせる。


 しかし、全員の目には闘志が宿っていた。

 昨日の滝行を通じて、忍耐力、自分のするべきことが明確になったからだろう。


「押忍! お願いします!」


 全員の声が最上と同じくらいの声量で響く。


 ◇◇◇


 最上旅館より、徒歩十分ほどの所にある、平地にて。


「よぉし! てめぇら! どっからでもかかってこい! 前と一緒で三回俺にハリセン当てれたら合格だ!」


 最上の声が平地の静寂を打ち破る。


「はい! いきます!」


 全員の声も響き渡る。


「では、拙者が進化したデブの舞で隙を作るでござる。須和流ハリセン術――デブの舞、乱れ咲……!」


 景伍が前回と比べ物にならない不規則な動きで、最上を翻弄する。


「ハッ! 前よりもキレも謎の動き加減も上がってんじゃねぇか! 景伍ォ!」


 最上は攻撃にはいかず、バックステップで距離をとった。


「そういう動きになるんじゃないかって、予測は立ててました……!」


 市川が背後に回り込んでおり、一撃を狙う。


「ほぉ……。ちゃんと作戦と予測も立ててきたのか……。偉いぞ……! だが、一対一じゃ話になんねぇよ……!」


 最上が高速でハリセンを振るう。


「私は一人じゃありません。生態系ゴッドから学びましたから……」


 市川が呟いた直後、他の五人が最上を円形に囲い込むように、飛び掛かる。


「市川は囮って訳か……。だが、まだ甘ぇ……! 最上流ハリセン術――回天斬かいてんぎり……!」


 最上は六人を巻き込む形で、その場でハリセンを構えて回転する。


「みんな力を合わせるっす!」


 理人が叫び、異能――身体強化を発動する。

 両腕と両足のみを強化する。といっても、才能Eの理人一人では最上を止めるには程遠いため、〝糸以外の五人〟で回天斬を受け止める。


「はぁぁぁああ!」


 最上の右方向から、糸が叫びを上げながら、叩きにかかる。


「前とおんなじか……。それじゃ、ダメだろ……」


 最上は素早く糸の位置を把握し、一撃を躱す。


 次の瞬間、スパンと衝撃音が響く。


「景伍、てめぇ……。死角からの一撃をずっと狙ってやがったのか……?」


 最上は強く景伍を睨み付ける。


「拙者だけではないですぞ……。全員で協力して繰り出した一撃でござる……!」


 景伍も負けないくらいの気迫で、最上を見据える。


「……つまり、俺はてめぇらの手の平の上で転がされてたって訳か……。糸があえてデケェ声出して攻撃してきたのは、景伍への意識を削るためか……!」


 最上は推測を述べつつ、満足げに笑みを浮かべる。


「そういうことです。私達も何も考えずに組手に臨んでいる訳ではないので!」


 澄華が真っ直ぐな声を出す。


「ハハハ! 面白くなってきやがったじゃねぇか……! 次はどんな手でくるんだ⁉」


 最上は戦いの愉悦を全身から発している。


「次はこんなのはいかがでしょう~。守護霊憑依~!」


 白百合に柴助が憑依していく。


「柴の速度で最上に一撃入れてやるワン! みんなサポートを頼むワン!」


 柴助が全員にサポートを依頼する。その声は覇気に満ちていた。


「あぁ? 白百合、んなしゃべり方だったか? 雰囲気も違うしよぉ……。なんか特殊なチカラでもあんのか……?」


 最上は怪訝な表情をしつつも、現実をありのまま受け入れているようだ。


「柴は白百合の守護霊ワン! 白百合は柴が護るんだワン!」


 柴助が気合の入った返答をする。


「いいねぇ! 普通にやっても面白くねぇからよぉ……。次の戦法を魅せてみろ!」


 最上がえる。


「柴の速さについてこれるかワン……?」


 柴助は口にハリセンをくわえ、四足歩行で一気に最上への距離を詰める。


「おお! 速ぇな! それに、獣みてぇに重心が下がってるから、対処もしづれぇな」


 そう言いつつも、最上は柴助の突進を全て躱している。

 しかし、体勢は先ほどよりも崩れつつあった。


 柴助が急に止まり、ハリセンを投げつける。


「今だワン! 狂戦士オカルトピエロ……!」


 柴助の咆哮が響く。


「怪奇現象のためだもの……。あちきは負けない……!」


 名巣が黒く淀んだ瞳で最上に接近する。


「体勢崩せたくらいで、勝てると思ってんのか⁉」


 パカン、パカン、パカン、パカン……! 強烈な衝撃音が四連で鳴る。


「この程度の痛み……怪奇現象のためなら……!」


 名巣は痛みを感じぬ狂戦士の如く、最上の連撃を喰らいながら突き進む。


 最上も捨て身で攻撃をするとは思っていなかったのか、防御が遅れる。


「オカルティックインパクト……!」


 名巣のド直球な一振りが最上の肩をかすめる。


「ちっ、名巣……! てめぇ、肝据わってんじゃねぇか……。あんだけ、しばいても向かってくるとは思ってなかったぜ……!」


「怪奇現象のためなら、痛みなど喜んで受けるわ……」


 名巣は恍惚とした表情をしている。


「……名巣……。てめぇ。だいぶイカれてんな……」


 最上は軽くひいているようだ……。


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