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五話 守ってあげたくなる系女子

「副会長、ルイボスティーありがとうっす。あと、幽霊騒ぎに関係が深そうな人も分かったっす!」


 理人はルイボスティーを受け取りながら市川に話しかける。


「……まさか、理人君にパシりにされる日がくるなんて思わなかったよ」


「パシりにしたかった訳じゃないっすよ⁉ 池内君が話しにくそうだったから……!」


「フッ。分かってる。冗談冗談」


 市川は軽く笑っている。


「もう……。副会長、マジなのか冗談なのか分かりにくいから~。そうだ、今日は流石に瀬奈さんも帰ってると思うから、明日行くつもりっす。明日もついてきてもらっていいっすか? 女性がいた方がいい気がするんで」


「いいよ。ジュースもおごってもらったしね。それに私達は生徒会だ。生徒の困り事をできる限り解決するのも仕事だ……!」


 市川は気合を入れている。


 ◇◇◇


 翌日。


「さて、副会長、瀬奈さんとこ行くっすか!」


「そうだね、行こうか」


 市川は立ち上がる。


 ◇◇◇


 今回も池内の時と同様に、瀬奈白百合に空き教室まで来てもらった。


「はじめまして。生徒会書記の青山理人っす」


「私は生徒会副会長の市川加奈。お時間もらうね」


 市川は池内の時よりも柔らかな印象で挨拶をする。


「はじめまして。瀬奈白百合です。よろしくお願いします~」


 白百合はやや間延びした返事をする。


 第一印象はおっとりしており、守ってあげたくなる系の女の子だ。目が大きくたれ目。ロングのツインテールで黄緑色だ。ツインテールは黒のリボンで留めている。


 理人は白百合に会った時点で違和感を強烈に覚えていた。


 浮いているのだ。柴犬が……。

 おそらく霊なのだろう、身体の輪郭がふわふわとぼやけている。そして、理人をとてつもなく睨み付けている……。


「さて、色々聞きたいことはあるんすけど、まず一点確認していいっすか?」


「どうぞ~」


「瀬奈さんって犬飼ってました?」


「え! 何で分かるんですか~⁉」


 白百合は心底驚いている様子だ。


「ええっと、俺……霊感強いんすよ。だから、視えるんすよね。柴犬が……」


 正確にはいつ噛みつくか分からない様子のキレ気味の大きい柴犬が……。


「理人君、霊感強かったの?」


 市川は単純に驚嘆している。


「……そうっすよ」


 本当は異能の譲渡による影響だろう……。


「視えるっす。瀬奈さんが家族の一員として大切にしていた柴犬が。もちろん、噛みついたりはしないでしょう……」


 後半は理人の願望だ。


「すごい! 本当に視えてるんですね~! 柴助しばすけのこと! あの子元気そうですか~?」


 白百合が感激で涙を流しながら尋ねる。


「ええ……。元気いっぱいっす。瀬奈さんのことを守ろうと頑張ってくれてるみたいです」


「ありがとう柴助。柴助が半年前に死んじゃってから、私ずっと寂しくて寂しくて……」


 白百合は静かに声を出し、泣いている。


 その様子を見て、柴助はペロペロと白百合の顔を舐めている。

 実際は霊体であるため、触れることはできていないが……。


 五分ほど、白百合が泣いているのに付き合い、黙って待っていた。



「すみません。急に……」


 白百合は涙を拭きながら、理人の方を見る。


「いえ、大切な家族っすから、気持ちは分かるっす。……その……少し、いや、かなり聞きにくいことなんですが、瀬奈さんは高校に入学してから、複数人から告白されてますか?」


「え⁉ そ、そ、そ、そんなことまで分かるんですか……」


 流石の白百合も若干引いてるのが伝わってくる。


「あぁ~いや、流石にそこまでは分からないっす。実は、瀬奈さんとお話しにきたのは、最近学校で原因不明の不眠や悪夢を見る男子生徒がいたからなんです。今こんなこと言うと傷ついてしまうかもしれないっすけど……原因は柴助さんかもしれない……」


「柴助が……? なんで……。あ、まさか、告白してきた男の子のこと悪い人だと思って……」


 白百合はわたわたと焦り始める。


「その可能性があるっす」

 と言いながらも、柴助の様子を見ていると違うのではないか? と感じる。先程から異常に理人に対して敵対心がある。まるで、白百合を取られないため……。


「あのっあの! 柴助とお話ってできますか?」


「分からないっす。一度試してみてもいいっすか?」


「ぜひ! 悪い人なんていないって教えてあげてください……」


「分かったっす。柴助さ~ん。声聞こえますか?」


 柴助と目が合う。物凄いキレてるけど……。


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