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四十七話 ナイス一本!

「景伍……このまま士気を下げられたら終わりだ……。百叩きとか絶対嫌だし。あと、俺達には手加減しないよ、あの人……。なんとか、二人で食い止めよう!」


 理人は殿しんがりを務める兵士のような気迫をみせる。


「承知!」


 景伍の返答と同時に最上へ打ち込む。


「気合はいいねぇ! だが、遅ぇ!」


 最上にハリセンを躱され、カウンターをもらう形で理人と景伍は頭をしばかれる。


「痛ってぇ……。マジで手加減なしだよ、あの人……」


 しょうがない、身体強化関連の異能を使うか……。いや、でもまだ精神修行研修三日目だ。ここで、身体を酷使するのはよくない。


 なら、相手の動きを少しでも予測できるようにする……!

 異能――視点先読み……!


 理人は才能Eであるため、完全に心を読むことはできない。だが、〝最上の視点〟にのみ一点集中すれば、視点の動きをほんの一瞬先読みすることができる。

 戦闘において、一瞬は勝敗を分ける大きな要因となる。そこに対して異能で有利をとったのだ。


「景伍! 今なら、もう少しマシな動きができそうだ。動き合わせてくれるっすか?」


「理人氏。流石でござるな。全く諦めておらぬとは……。もちろんでござる」


「会長達も隙があれば、叩いてほしいっす!」


「わかったわ! みんな! 頑張るわよ!」


 澄華が他の四人に声をかける。


「会長、私としたことが取り乱しました。戦う覚悟はできました……!」


 市川が凛とした佇まいで応える。


「ハッ! もう一発叩き込んでやるよ……!」


 最上が疾風の如く駆ける。


 理人は最上の視点を読み、声を出す。


「景伍! 向かって右からくる! 俺が防御するっす!」


「了!」


「ほう……。予測したか、まあ関係ねぇけどな」


 最上は神速のハリセンさばきで理人に三連撃を入れる。


「…………今っす、景伍……」


「須和流ハリセン術――デブの舞、せん……!」


 景伍は小太りな身体からは考えられないほどの、不規則な動きをし舞い踊る。そして、ハリセンを四度振り抜く。


 しかし、最上は反射神経で全て見切る。


「いいコンビネーションじゃねぇか……! 理人! 景伍! 見直したぜ!」


 最上は愉しげに笑う。


 直後、女性陣五人がハリセンで攻撃を仕掛ける。


「ナイスタイミングだ……。だが、俺なら避けられる……」


 最上は女性陣のハリセンを躱し切る。

 ただ、一人を除いて……。


 ペチンッ。やや小さめの衝撃音が鳴る。


 音の鳴った方向を見ると、糸がハリセンで最上の背中を叩いていた。


「糸ォ……。てめぇ、やるじゃねぇか。小せぇ身体を活かして、気配消してやがったな。俺から一本取るとは、なかなかのもんだ……!」


 最上は満足げに歯を見せる。

 はたから見れば、鬼に喰われそうな幼子おさなごのように見える……。


「あわわわゎ……」


 糸はビビッて、あわあわ言っている。


「ナイス一本! 糸ちゃん!」


 理人が声を上げる。


「え、えへへ……」


 糸が子どものように嬉しそうな笑顔を見せる。


「おいおい! まだ、一本取っただけだ! 三本取るまでは合格じゃねぇんだぜ? ここからは本気でいく……。油断すんなよ……?」


 最上が殺気を周辺一帯に放つ。



 そこからは、最上の速度についていけず、一本取ることもできなかった……。


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