表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/71

四十六話 精神修行研修 三日目! ハリセン組手!

 翌日。


「てめぇら! おはよう! 精神修行研修三日目だ! 今日は肉体強化だ! 俺と組手をしてもらう!」


 最上の声が部屋中に響き渡る。


「えぇ⁉ 最上先輩と組手するんですか⁉ それは、その……死人が出ないか心配なのですが……」


 澄華がやや震える声で尋ねる。


「安心しろ! 手加減はしてやる! それに、一対一じゃねぇ。てめぇら全員でこい!」


「え⁉ 一対七ってことっすか⁉」


 理人が驚嘆の声を上げる。


「そうだ! 流石に一対七なら勝負になるだろ?」


「いや、しかし百戦錬磨の最上先輩相手に拙者達では敵わないかと……」


 景伍は真剣な声色だ。


「バカヤロー! 男が戦う前から諦めてんじゃねぇ! しばきまわすぞゴラァ!」


 最上の一喝が景伍を貫いていく。


「も、申し訳ございませぬ……。どうぞ、しばきまわしてくだされ……」


 景伍は悟りを開いたような顔をしている。


「オイ、景伍ォ……。何もう既に諦めてんだゴラァ!」


 最上はハリセンを取り出し、景伍の頬を豪快にしばく。

 スパァンと高音の衝撃音が響く。


「ぶほぉ……。こ、これは……」


「見ての通りハリセンだ。組手っつっても、素手ではやらねぇ。安全面考慮してハリセンを使う。ただし、そこそこ痛ぇぞ……?」


 最上はハリセンで自分の肩を何度か軽く叩く。


「お、押忍。たしかに、なかなかの威力でござった……」


 景伍が頬をさする。


「ま、つーわけだ。組手するのにちょうどいい平地がある。そこで修行だ! ついてこい、てめぇら!」


 最上を先頭に歩いていく。


 ◇◇◇


 最上旅館より、徒歩十分ほどの所にある、平地にて。


「さてさて、勝利条件決めとくか。……合計で俺に三回ハリセン当てれたら合格にしてやるよ」


 最上が不敵な笑みを浮かべながら話す。


「合計……一人三回ということでしょうか?」


 澄華が質問する。


「いや、全員分合わせて三回でいい」


「……わかりました」


 澄華は静かに答える。

 その表情は相手の余裕に対して、恐怖を含んでいるように感じる。


 最上は身体を捻って準備運動をしている。


「さあ、準備運動は終わった……。どこからでもかかってきていいぜ……?」


 最上が全員の目を見ていく。


「拙者が先陣を切る。皆には続いて、サポートをお願いしたいでござる……!」


 景伍がやや低姿勢になった後、一気に加速する。


「フンッ。やっぱ景伍が最初にくるか……!」


 最上は呟いた後、景伍のハリセンの四連撃を躱す。


「は、速い……!」


 景伍に一筋の汗が流れる。


「隙だらけだぜ? 景伍……」


 最上がハリセンを構える。


「待って……!」


 景伍以外の六人全員が景伍の前に出る。


「アホか……。仲間想いなのはいいが、ただ的が増えただけだぜ?」


 最上は高速でハリセンを振るい、六人の頭を叩く。


 スパァンと小気味よい音が響き渡る。


「痛っ……! これハリセンの威力⁉」


 理人はあまりの痛みに叫びを上げる。


「痛みがねぇと修行にならねぇだろ? まあ、一応女にはもう少し手加減してるがな」


 最上はニヤニヤと笑う。


「うぅ~痛いよぉ……」


 糸は既に半泣きになっている。


「みんな、拙者のためにすまぬ……」


 景伍がすぐさま謝る。


「いやいや、景伍のせいじゃないっすよ。咄嗟になんとかしようとしたら、みんな前に出ちゃっただけだから。それより、作戦立てないと、最上先輩が速すぎて捉えられない……!」


 理人は焦って早口でみんなに伝える。


「んな暇やるかよ……! ここは戦場だぜ? 死ぬ気でこねぇと全員、百叩きに遭うだけだ……!」


 最上が突っ込んでくる。


 女性陣からは悲鳴が上がる……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ