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四十一話 みんなの意外な側面

 理人は宝剣を持って景伍達のもとへ戻る。


「理人氏……! やってくれたのでござるな……! この御恩は一生忘れぬ……。我等の命を救ってくれたこと感謝申し上げる」


 景伍は大仰に手を胸の前に当てて、深々と頭を下げる。


「そんなに感謝してくれなくて大丈夫っすよ! 何とか宝剣を無事に持って帰れるんだから、気にしないで、景伍」


 理人は笑顔を向けながら、気にしないでほしいと手を軽く左右に振る。


「本当にありがとう! 理人お兄ちゃん! でも、どうやって直したの?」


 糸から、当然の疑問が投げかけられる。


「あ~それは…………。昔、鍛冶屋かじやに弟子入りしてたことがあるんす! そこで直し方教えてもらってたんだ!」


 理人はその場で思いついた言い訳を述べる。

 流石に苦しいか……?


「……理人お兄ちゃん……鍛冶屋さんに弟子入りしてたんだ! 知らなかった! やっぱり、理人お兄ちゃんはすごいよ!」


 糸は目をキラキラと輝かせる。


「理人氏、只者ではないと思っていたが、まさかそのような鍛錬を行っていたとは……」


 景伍は驚きつつも、納得したように二度うなずいている。


 理人は思う。やばい……なんか変な誤解が増えてるような気がする、と。


「いやぁ、昔の鍛錬が役に立ってよかった。あはは……」


 理人は笑うしかなかった……。


 澄華と白百合からは感謝の言葉くらいしかなかった。


 この二人は理人が普通ではない能力ちからを持っていることを知っているからだろう。特に澄華は異能を譲渡された間柄だ。


 市川と名巣に宝剣を見つけたことを連絡する――。


 ◇◇◇


 最上旅館に戻ると、少しして、袋に大量の何かを詰め込んだ市川と名巣が戻ってきた。


「おかえりっす。副会長、名巣さん、その袋のものはなんすか?」


 理人は気になりすぐに尋ねる。


「これは松茸だよ! 名巣さんのダウジングがすごくてね! なんと、行くところ行くところに松茸があったんだよ!」


 市川は興奮気味に答える。


「ええ……⁉ どんなダウジング能力なんですか名巣さん……」


「あちきだって、驚いたわ。怪奇現象じゃなくて、松茸を見つけることが得意だなんて……」


 名巣の顔には無念と書いてあるようだ。


「いや、名巣さん! 素晴らしい能力だよ。松茸ハンターになれるんじゃないかい?」


 市川が興奮気味に声を出す。


「松茸ハンター……。あちきは怪奇現象を研究したい。だから、望まない能力よ……。まあ、ちょっと楽しそうだけど……」


 名巣がやや苦笑する。


「それにしても、よく松茸だってわかりましたね! なんか知識があったり……?」


 理人は単純に思っていた疑問を投げかける。


「ああ、それは私が植物なんかの生態系に少しばかり詳しいからさ。元々は花が好きで、興味を持ったのがきっかけだけどね」


 市川が凛とした声を出す。


「へ~! 副会長にそんな側面があったとは……。というか、好きが高じて『生態系博士』になるなんて、すごいっすね!」


 理人は驚嘆する。


「博士は言い過ぎだよ、理人君。いやでも、みんなが宝剣を見つけてくれてよかったよ。名巣さんと話してたんだ。松茸で何とか最上先輩を説得できないか、ってね」


 市川はフワっと笑みを浮かべる。


「そうね。みんなには感謝よ。まずは第一の試練突破ね……!」


 名巣は嬉しそうに笑う。クマが酷く、やはり凶悪ピエロが笑ってるようにしか見えない。


「そうっすね! じゃあ、最上先輩のところにいって、宝剣と松茸見てもらおう!」


 理人の号令で全員が最上のもとへ移動する。


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