表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/71

四十話 宝剣は エクスカリバー⁉

「糸氏のおかげでござる。高い所から、宝剣の輝きを探したんでござる。理人氏はどうやって見つけたんですかな?」


 景伍が軽く首を傾げながら尋ねる。


「ええっとそれは……。似たような感じっす。宝剣ピカピカしてたから……」


 理人は白百合が守護霊憑依できることを、軽々しく言うべきではないと判断し、似たような理由で見つけたことにする。


「おお~! 糸氏と同じような理由でござるな! 頭が回る人がいると助かりますな!」


 景伍は嬉しそうに笑っている。


「じゃあ、早速宝剣持って帰ろっか」


 糸が宝剣を指差しながら提案する。


「そうですね~。私抜きますね~」


 白百合が宝剣を引き抜こうとする。しかし、抜けない……。


「あれ~。深く刺さり過ぎてるのかビクともしません~」


 白百合が汗をかきながら、全員に伝える。


「むむ……? そうなのでござるな。よく見れば、伝説に出てくるエクスカリバーのような見た目ですな。まさか……選ばれし者でないと引き抜けぬとか……」


 景伍が目を輝かせながら呟く。


「そんなことあるんすか⁉」


「だったら、この超絶美少女に任せなさい……」


 澄華が宝剣を引き抜こうとする。しかし、宝剣はビクともしない。


「何よこの剣。最上先輩が強く刺し過ぎてるんじゃない⁉」


 澄華が毒づきながら、後ろに下がる。


「では、拙者が……」


 景伍は宝剣の前で二度深呼吸をする。


「さあ、我を選びたまえ! エクスカリバーよ!」


 景伍の全力と思われる、引き抜きが行われる。


「ふん……ぬおぉおぉぉぉおおおおおお!」


 景伍の咆哮が響き渡る。


 ベギッッ! という音が咆哮を止める。


 宝剣は引き抜けたが、つば部分から後ろが見事にへし折れている……。


「あ……。これは……元々こういう形でござったか? 二刀流的な……?」


 景伍が青白い顔をして哀愁漂う声を出す。


「ちょっと景伍! あなたこれ……。最上先輩に皆殺しにされるんじゃない……⁉」


 澄華がらしくない焦り方をして、声を荒げる。


「な、なんと……。これは拙者の落ち度……。腹を切ってお詫び致す」


 景伍は覚悟がガン決まった顔をしている。


「えぇ……。私こんなとこで死にたくないよぉ……。理人お兄ちゃん……」


 糸が涙目で理人の方を見つめてくる。


「ま、待つっす。景伍は切腹しなくていいし、糸ちゃんも泣かないで……。もしかしたら、俺がなんとかできるかも……」


 理人は大急ぎで異能トリセツを確認する。


「理人氏……。まことでござるか……?」


 景伍は藁にも縋る顔で見つめてくる。


「ちょっと待ってほしいっす。何かないのか……。あ、コレなら……」


 トリセツには〝物質修復〟という項目があった。才能Eでも多少であれば、元の状態に修復できるようだ。


「集中したいから、ちょっと離れたところに行ってもいいっすか?」


「もちろんでござる。……理人氏、みなの命が懸かった大事おおごとを任せてしまい、申し訳ない……」


 景伍は深々と頭を下げる。


 理人は思う。そう言われると、余計プレッシャーが凄まじいんですけど⁉




 少し離れた場所にて。


 理人は全力で集中していた。


「物質修復は自分の身体を治すことの延長線上にある能力。身体を治すイメージを、物質にまで拡張する……。何コレ……。難し過ぎないっすか⁉」


 理人はブツブツと呟きながら、宝剣を修復し続ける。


「ぬぅぅぅ。直れぇ。直れぇ……。ダメか……。才能Eじゃ難しいのかな……? 身体を治すイメージを物質にまで拡張か……。コレって何かを引き換えに直せたりするのかな……?」


 理人は思いついたことをやってみることにする。


「うぉおおおお。直りやがれぇぇ。俺の右肩を犠牲にしてもいい……! どうだ……⁉」


 モキョッという不快な音が身体に響く……。


「痛ぇぇ……。あ、でも、宝剣直った。やった!」


 勢いよく立ち上がった理人は右肩が外れており、激痛が走る。


「痛い痛い痛い……。異能って便利だけど、結構体張らないとダメだよねぇ……」


 カバンから栄養補助ゼリーを取り出し、一気に飲み干す。


「ふぅ……。これで、右肩を回復させれば大丈夫……。右肩よ……マジで頼むからあんまり痛くなく治れ……!」


 モキュッという音と共に、右肩が治る。やはり結構痛い……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ