表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/71

三十一話 対決! クールビューティ系女子

 理人と神代はコートに入る。


「あたしがオフェンスでいい? 無駄な時間かけても仕方ないから」


 神代はバスケットボールを指先で回しつつ、余裕をのぞかせながら尋ねてくる。


「いいですよ。俺がボール取ればいいだけっすから」


 理人は軽く準備運動をしながら、答える。


「あっそ。…………じゃあ、始めるわ」


 一気に神代が加速する。ボールを持たずに、全速力で突進してきていると錯覚するほどのキレとスピードだ。


 速い……。でも、負けられない。異能――神経伝達強化!

 反射神経をはじめ、運動能力に関わる神経を引き上げる。

 今の状態なら、神代の動きが視える、読める……!


 理人は神代の前に躍り込む。


「行かせねぇっす」


「よく反応できたね。でもこれ以上は無理だろ……?」


 神代は更に二段速度を跳ね上げる。


 理人は玉のような汗を飛ばしながら、必死に喰らいつく。


 嘘だろ……。まだ、そんなにスピード上げれるのかよ……!

 でも、まだ……!


 身体中が悲鳴を上げている。当たり前だ。こんなに運動したり普段しないからだ。

 それでも、何とか神代に喰いついていけているのは紛れもなく、異能のおかげだ。


 その代わり、身体中の神経が痛む。筋肉が引きちぎれていくのを感じる……。


「ここで止める……!」


 理人は神代に生まれた一瞬の隙を衝き、ボールを弾いて飛ばす。


 おそらく、予想以上に理人が動けたため、驚きの感情が生じていたのだろう。その隙がないと、確実にボール奪取は不可能だった……。


 理人は神代よりも早く、ボールを何とか手元に手繰たぐり寄せる。


「ゴールを決めて、俺の勝ちっす……!」


 神の気まぐれか、ボールは理人が攻める方向に飛んで行っていた。

 ここからなら、何とかシュートを放てる……!


「これで終わりだぁぁぁあああ!」


 シュートのためにジャンプした途端に理人の身体中の力が抜ける……。

 理人の〝一応〟放ったシュートはへにゃへにゃと、地面に吸い込まれる。


 へ? 何だこの感覚……。足にも指先にも力が入らない……。


 まさか、〝タイムオーバー〟……?

 才能Eの理人の異能はそこまで長くは持たない。それに、筋肉が限界を迎えたようだ。

 身体中の筋肉という筋肉が絶叫を上げている。


 力無く、理人は床に倒れ込む。


 素早く神代がボールを回収する。


「随分と無理をしていたみたいね……。このまま決める……!」


 神代はゴールまで電光の如く移動する。

 そして、レイアップシュートを決める。


「あぁぁぁ! クソッ! 負けたっす! 神代先輩すごいですね!」


 理人は身体を動かしてハイになっているのか、素直に熱意のこもった言葉が口から溢れ出た。


「……ふん。あんたもまあまあ、すごかったわ」


 神代からは淡々とした言葉が返ってくる。ただし、見る目が最初とは変わっている。スポーツを通じた絆のようなものをたしかに感じる。


 周りでは女子バスケ部員達が「あの人すごい!」「あの神代部長と一瞬互角に戦ってた!」など口々に賛美の声を上げる。


「うるさいよ! あんた達! この後、しばらくは私抜きで練習してて。私はこのへなちょこシュート小僧と話があるから」


 神代はすぐに部員の声を制する。そして、理人の目を真っ直ぐ見つめる。


「んぇ……? ってことは……」


 理人は思わず、驚嘆を漏らす。


「……はぁ……。だから、話くらいは聞いてあげる。何か私に言いに来たんでしょう?」


 神代は動き回って、紅色に染まった顔で理人を見下ろしながら、言葉にする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ