三十話 クールビューティ系女子を煽れ!
「俺は生徒会書記、兼スクールアシスターの青山理人っす。あなたの練習は厳し過ぎる。みんな怯えながら練習してるのがわからないんですか?」
「怯えていたら何だと言うの? 巧くプレーできないのが悪いんでしょう? 私は下手くそに合わせて練習なんてできない。全国大会を目指してるのよ?」
「そうだとしても、こんな恐怖で従わせるような環境じゃ良いプレーも生まれないっすよ」
「恐怖がない温い環境で全国大会を目指せって……? 生温いこと言わないで! 勝つことが、どれだけ大変かもしらないくせに口出ししないで! あんたの言うことなんて聞く気はないわ! 帰ってくれる? 何とかアシスターさん?」
神代は青筋を立てつつ、怒りを口から噴き出す。
「……だったら、勝負しませんか? 俺とバスケで勝負して、俺が勝ったら話を聞いてほしい。負けたら、二度とバスケ部に近づかないっす」
理人は腹に渦巻く怒りを抑え込み、あくまで冷静に声にする。
「はぁ? あんたが私に勝てる訳ないでしょ? それとも、何? バスケ経験者なの?」
神代は片眉を上げて、意味がわからないということを表情で伝えてくる。
「ふっ、経験者っすよ? 体育の授業で合計十五回くらいはしてる! さあ、勝負っす!」
「何言ってんの? そんなクソ素人に私が負ける訳ない。やる意味もないわ。帰って!」
「あれ? 神代部長ビビッてるんすかぁ? 体育の授業でやった程度の俺に負けるのが怖いんですね……? なら、まあ仕方ないかぁ」
理人は内心、ブチギレられるのを覚悟し、内臓は震えていた。
「…………あんた、本気でバカみたいだね。折角連れてきた彼女の前で、恥かきたいみたいだね……」
「彼女じゃないっすよ……。『大切な妹』っす。妹の前でかっこ悪いとこ見せられないんでね。本気でいきますよ……?」
「ちっ……。時間の無駄なことを……。あとで、生徒会にクレーム入れてやるわ。……じゃあ、ワンオンワンでもする……? まあ、瞬殺だろうけど?」
神代はわざと顎を上げて、侮辱しているのが目に見える。
「いいっすよ。体育の授業で鍛えたバスケセンス見せてあげるっす。」
まあ、実際は異能頼りの戦いだけどね。
「あ、その前に、エネルギー補給だけいいっすか? 栄養補助ゼリー飲まないと調子出ないんで」
「勝手にすれば? どうせ結果は変わらないわ……」