二十五話 フードファイト系男子
フードファイトの結果は景伍の圧勝だった。
学校一の食いしん坊も出ていただけに、驚きの結果であり、会場は喧騒に包まれていた。
コトハが興奮気味に景伍にインタビューをする。
「どうやったら、あんなに早くホットドッグを食べられるのですか?」
「ホットドッグを飲み物……。いや、麺類だと思えばいい……。さすれば、吸い込んで食べるというイメージも湧くだろう。あとはそれを実行する肺活量のみ……」
景伍は百戦錬磨の騎士のように、凛とした佇まいで答える。
「す、すごい……。そのような発想が……。毎日鍛えてらっしゃるのですか?」
「普段から食事は修行の一環だ。常に肺活量を意識することで、食べ物を吸い込むことができるようになる……」
「なるほど! 素晴らしいフードファイトありがとうございました!」
観客から歓声と拍手が響き渡る――。
◇◇◇
コトハより、放送がある。
「続いては家庭科室でのクッキングバトルです。家庭科室の中に入れる人は抽選で決められており、事前に入場券を渡しています。今回は、特別バトル! 生徒会VS最近発足したオカルト研究部です!」
◇◇◇
「いやぁ緊張するっすねぇ。まあ、俺と景伍は出ないけど」
理人は澄華に声をかける。
「あなた達は十分働いてくれたわ。ここからは私と副会長に任せなさい!」
澄華は自信満々だ。
「美味しい料理楽しみにしてますね!」
理人は笑顔で澄華を送り出す。
◇◇◇
コトハの放送が響く。
「それでは、クッキングバトルに出る決闘者を紹介します! 生徒会チーム! 生徒会長、如月澄華さん! 副会長、市川加奈さんです!」
観客の歓声と拍手が起こる。有名人がライブでもしているのかと思うほど、会場が揺れる。
理人は思う。この学校本当にイベントごと好きだよな……と。
「対するは、オカルト研究部チーム! 部長、名巣幽鶴さん! 部員、如月糸さん! 如月糸さんは生徒会長と姉妹だそうです! 果たしてどちらの料理が勝つのか⁉ みなさんご期待ください!」
すると、大きな円盤型のダーツボードが登場する。
「ここに書かれている料理のどれかで、バトルしてもらいます! ダーツを投げるのは私、黒石コトハが務めさせていただきます! ではいきますよ!」
コトハがダーツを投げる。
オムライスと書いてある場所に、ダーツは突き刺さる。
「バトル種目はオムライスです!」
コトハの声が高らかに響く。




