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二十一話 アシスター系男子の覚悟

 しばらく、澄華の家には向かわず、ウロウロとしてみる。


 すると、後ろから景伍の声が聞こえる。


「そこの者……あの二人に近づいて何をする気でござるか……?」


 理人が振り返ると、黒いフードを被った男に景伍が話しかけていた。


「……ふざけるな……! 澄華ちゃんは僕のだ! 澄華ちゃんをたぶらかしやがって! 僕のなのに、ふざけるな、ふざけるな……! 僕がどれだけ想ってきたと思ってるんだ!」


 男は折り畳み式ナイフを二本取り出す。


「貴様……!」

 景伍の声が響く。


 男はナイフを数度振り回す。

 しかし、景伍は距離を見切り全て躱す。


「こんのデブ! ちょこまか動いてんじゃねぇ!」


 男は地面を蹴り上げ、砂埃が舞う。


目眩めくらましなど……!」


 景伍が叫んだ直後、男はナイフを一本投げつける。


 咄嗟に景伍はナイフのを掴み、受け止める。

 おそらく、後方に人がいた場合を考え、危険をかえりみず受け止めたのだろう。


「裏切りやがって! こんのアマがァァ!」


 男は理人と澄華の方に駆ける。


「会長、離れて!」


 理人は澄華を突き飛ばす。


「栄養補助ゼリーでエネルギーは充電済み……。やってやる……! 異能――反射神経上昇!」


 理人は異能で反射神経を引き上げる。


 見える世界が変わったみたいだ……。相手の動きへの反応速度が一気に上がったぞ……。


「死ねやゴラァァ!」


 男がナイフを突き刺そうと突進してくる。


「今……!」


 理人は左腕でナイフの一撃をそのまま受ける。

 直後、異能で強化した右拳みぎこぶしで、男の顔面をフックで打ち抜く。


「ぐがぁぁぁ……」


 男は悲鳴を上げ、昏倒する。


「くそ……。むちゃくちゃ痛いし、流石にナイフぶっ刺さってるとヤバいな……。血が全然止まらない……」


 理人は右手でナイフが刺さった箇所を押さえる。

 右手の隙間から、血が溢れ続ける……。


「理人! 理人! 大丈夫⁉ 私なんかのために、なんでそこまで⁉」


 澄華が泣きながら駆け寄ってくる。


「前にも言ったでしょ、会長……。会長は俺が守るって。それに、お互いに支え合う約束もあるし……」


「そんなことのために……。……死なないわよね、理人⁉ 出血多量で死んじゃうなんて嫌だよ……。私、優しい理人のこと……昔から…………」


 澄華は涙が止まらず、言葉の続きを失う。


「大丈夫っす。俺は異能力者。学校出る前に二本、栄養補助ゼリーを飲んでるっす。才能Eでも回復の異能は少し使える。血を少しの間止めるくらいはできる……」


「理人氏! 救急車と警察は呼んでますぞ! ナイフは抜かずにできるだけ、出血を少なくするでござる!」


 景伍が走ってきて、ハンカチを渡してくれる。


「ありがとう。景伍……」


 理人はハンカチで傷口を押さえつつ、異能で出血を止め続ける――。


 ◇◇◇


 しばらくし、救急車と警察が来た。


 理人は救急車で運ばれ、病院で治療を受けた。

 ストーカー男は、目撃証言もあり、傷害罪の疑いで連行された。


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