二話 異能スクールアシスター爆誕!
「うぅ……痛いっす……。会長に理不尽にしばかれたんでしたね……」
理人は額をさすり、起き上がる。
「ごめんごめん。思いっきりしばくって、トリセツに書いてたからね。異能は使わずしばいたんだけど、痛かった……?」
澄華が申し訳なさそうに尋ねる。
「はい。サッカーでゴールキーパーしてる時に、顔面でボール止めた時と同じくらい痛かったです。正直、ちょっと泣くの我慢してるっす」
「あら、それは……。色々ごめんなさいね……」
「大丈夫です! 俺が選んだことですから! ……でも俺は一応、異能力者になったんすよね……。実感湧かないな……」
理人は身体の変化に目を向けるも、特に変わった感じはしない。
「私がさっきしたみたいに、異能で物を浮かばせてみてはどうかしら?」
「会長は爆発させてましたけどね……。一度やってみます。念じながら、呟けばいいんすよね?」
「トリセツにはそう書いてあったわ。私と同じ内容だったら、そのはず」
「うっす。試してみます」
理人は右手を机に置いてあるボールペンに向けて、意識を集中していく。
「ボールペンよ……浮かべ……!」
しかし、ボールペンはびくともしない。
「動きませんね……。いや、重みは感じるな……。重たい岩を持ち上げようとしてるみたいっす……。もしかして、才能なさすぎてボールペンすら持ち上げられない……?」
「理人の才能はE。最底辺みたいだからね。それにしても、ボールペンすら持ち上げれないとは……」
澄華はやや落胆している様子だ。
「むむぅ……。ちょっと待ってください。一度本気を出します!」
理人は全身全霊でボールペンに集中する。そして、右手を持ち上げる。ボールペンは五センチメートル程持ち上がる。同時に、モキョッと不快な音が響く。
「あ! 理人! 持ち上げれたじゃない! ん? 理人どうしかしたの……?」
「……右肩が……。俺の右肩が外れた……っす……」
「え……? 今ボールペン持ち上げて?」
「はい……どうやら、そのようっす。痛いです……」
「あら……。……異能で治せたりしないかしら?」
「トリセツ読んでみます……」
理人は頭に集中する。だんだんとイメージとしてトリセツが出現する。コレは……エアコンのトリセツみたいな形だ。
パラパラと目次を確認する。〝回復関連の異能〟という項目があり、そのページを確認する。
才能Eのあなたは、回復能力を使用するために栄養を摂る必要があります。急ぎの場合は、栄養補助ゼリー飲料などがよいでしょう。
なるほど、栄養を摂って、エネルギー溜めないと回復能力は使えないのか……。
「会長、分かりました。何か食べ物を摂取してエネルギー補給が必要みたいです。ちょうど、栄養補助ゼリー飲料を常備してるので、回復してみます」
理人は栄養補助ゼリー飲料を摂取し、唱える。
「右肩よ……できるだけ痛みなく治れ……!」
モキュッという音が響き、理人の右肩は治る。……結構痛い。
「理人、大丈夫……?」
流石の澄華も心配そうな顔だ。
「大丈夫です会長。しかし、異能でできることは便利っすけど、俺の才能のなさだと、どこまでのことができるのか疑問ですね……」
「そう、よかったわ。まあそこは今後練習してもらおうかしら。それと、もう一つお願い……いえ、生徒会長としての指示があるわ」
「生徒会長としての指示ですか?」
「そうよ。青山理人。あなたには異能を使って、学校内で困ってる人を助ける任務を与えます。名前はそうね……生徒会書記兼、異能スクールアシスターよ!」
「異能スクールアシスター!? ちょ、勝手に決めないでくださいっす!」
「異能と付けていると異能者だとバレて面倒かしら……。皆の前ではスクールアシスターと名乗ってちょうだい」
「会長? 話聞いてます?」
「生徒会として、学校内の困り事を解決するのは当たり前でしょう? しかも、異能を使えるのよ? きっと色んな困り事を解決できるでしょうね」
「困ってる人を助けるのは賛成っすけど、そんな簡単にいきますかね……?」
「大丈夫よ。生徒会ができる限りのバックアップをするわ! 私も学校内の困った人を助けたい思いがある!」
「……それなら、まあ安心……か。会長の考えも分かりました。俺も困ってる人を助けたい。そのために会長に誘われて生徒会に入りましたから!」
「いい返事ね! 私達で学校内の困ってる人を助けましょう! 異能スクールアシスター青山理人!」