十七話 おっとり系女子の恋……?
しばらく順番待ちをして、白百合の番がまわってくる。
「それでは、占いましょう。タロットか水晶どちらがいいかしら?」
名巣が目を細め、妖しい雰囲気を身に纏い尋ねる。
「そうですね~。じゃあ、水晶で!」
白百合は少し迷った後、声を出す。
「……何について占う?」
「恋愛について知りたいです~」
白百合は明るい声で答える。
「恋愛……。恋愛の中でも何について知りたい? 出逢う相手? それとも、既に気になる人がいるのかしら……?」
「ほぇ……? えぇっと……気になる人がいて……」
白百合は思わず顔が赤みを帯びる。
「わかったわ……。水晶よ、水晶……。此の者の恋路について示したまえ……」
白百合はそわそわしながら、結果を待つ。
「……結果が出たわ……。……一言で言うと良縁よ……。あとはあなたの勇気次第ね……」
名巣はもったいぶるように、ゆっくりと話す。
「良縁…………。あ、あの! 私、まだ恋とかよくわかってないかもなんですけど、それでもいいんでしょうか……?」
白百合は意を決したように名巣に問いかける。
「……恋……。難しい問いかけね……。どこからを恋と呼び、そうじゃないと区別するかは難しいわ……。それでも、あなたが今、恋愛について占ってほしいと願ったのが答えじゃないかしら……?」
「…………そうですね~。わかりました! ありがとうございます~!」
白百合はスッキリとした顔で占いコーナーから出ていく。
◇◇◇
「理人お兄ちゃん! ありがとう~! オカルト研究部に興味を持ってくれた人が三人もいたよ~! すごいよ! 理人お兄ちゃん大好き!」
糸が物凄い勢いで理人に抱きついてきて、頭を理人の胸にグリグリと押しつける。
「どわっ……。もう……。糸ちゃんテンション上がると、行動がオーバーになり過ぎっすよ……」
理人は軽く糸の肩を持ち、ゆっくりと糸を離す。
――女の子に抱きつかれるのは嬉し過ぎるけど、俺も男だ。おかしなことを考えてはいけない……。特に糸ちゃんには――。
「わゎ……。喜び過ぎて……。ごめんなさい……」
糸がサッと一メートルほど距離を取ったあと、頭を下げる。
「あはは。謝らくていいよ。廃部にならなくてよかった!」
理人は顔を綻ばせる。
「そうだ! 理人お兄ちゃんの知り合いの、白百合ちゃんも入部してくれたんだよ! 占いも良かったし、オカルトにも興味あるんだって!」
「そうなんだ! それはよかった! 白百合さんはすごく良い人だから、仲良くするんだよ」
理人は兄のような気分で糸に伝える。
「うん! わかった! それじゃ、改めて今回はありがとう! スクールアシスター理人お兄ちゃん!」――。