十四話 オカルト系女子
オカルト研究部の部室に到着する。
「理人お兄ちゃん、どうぞ。ちょっと散らかってるけど……」
糸の先導で部室に入る。
理人の目の前には混沌が広がっていた。
まず、部屋が薄暗い。
カーテンは天体のような模様が描かれており、まるで小宇宙にいるような感覚になる。
甘いような匂いのするキャンドルが焚いてある。
よく見たら、薬草のようなものも栽培している。
その他、謎のアンテナや、UFOの模型、壺や魔除け札、水晶、魔法陣などが置いてある。
宇宙人のような大きな絵が三枚程、壁にかかっており、威圧感がある。
端的に言って、怖い。
「こ、これは……」
理人は一度言葉を失う。そして口を開く。
「なんというか、本格的っすね……」
「分かります? 流石、理人お兄ちゃん! こんなに設備揃ってると思ってなくて、最初感動したんだ!」
「…………昔から糸ちゃん、こういうの好きだったもんね」
「うん! 不思議な現象とか大好き!」
糸はテンションが上がっている。
「さて……部長さんっているかな……?」
「え? いるじゃないですか? 薬草コーナーにいますよ……?」
「マジっすか?」
理人は少しずつ、薬草コーナーに近づく。
すると、バッと紫の巨大な植物が立ち上がる。
「ギャァァァァァ! 出たー! なすびの怪物っすゥゥ! 糸ちゃん! 逃げて!」
理人は手を広げて、紫の怪物に立ち塞がる。
「ちょ、ちょっと……。おたく……なんなんですか……? 人の顔を見るなり、怪物だなんて……。え? もしかして、本当に怪物いる? どこどこ?」
紫の怪物……と思っていた女子生徒はキョロキョロと周りを確認する。
「理人お兄ちゃん……。この人がオカルト研究部の部長の名巣鶴幽さんですよ……?」
「…………あっ、人の顔だ……。さっき見た時は紫の大きな、なすびの怪物に見えたんすけど……。髪のトップが黒で、他が紫色でロングヘアだったからかな……。いや、失礼しました」
理人は驚きがまだ心から抜けていないが、謝罪する。
「なすびの怪物だなんて……。そんなのいるなら、見てみたいわ! もしかして、おたく見たことあるの⁉」
「いや、見たことないっすよ。というか、なすびの怪物扱いに関しては気にしてない感じですか?」
「そんなことより、不思議生物の方が興味あるわ! あちきの見た目なんて変わってることは昔から知ってるし! 髪も変な色だし、背も高いでしょう? ……で? この人は誰なの、糸ちゃん?」
「ふふん。この人はかの有名なスクールアシスター青山理人お兄ちゃんです! オカルト研究部の廃部を救うために、来てくれました!」
糸は得意げに理人を紹介する。
「ほぉ。この人が有名な人なのね。まあ、オカルト以外興味なさすぎて知らないけど。驚くのが上手な人……?」
「いや、そんな理由で来てたらおかしいでしょ⁉ 驚くの上手で部員増えないですよ?」
理人は思わずツッコミを入れる。
「それはそうか……。で、この人が部員集めてくれるの? 正直、もう打てる手は打ち尽くした感じもあるけど……」
「部長! そんなこと言わないでください! 私、名巣部長と宇宙人とか怪奇現象、呪いとか色んなこと研究したいです!」
糸は泣きそうになりながら叫ぶ。
の、呪い……? この部室の雰囲気なら、ありえなくはないか……。一旦気にしないでおこう……。