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「え……えっと……俺1人でやるんですか?」
「仕方ないだろ、突入装備は1セットしか残ってないんだから」
俺は、隣のビルの屋上から、俺達のオフィスが入ってるビルを見ていた。
「えっと……秋光さんの能力なら……」
「すまん、俺の能力だと、最低でも片腕が塞がる。出来る事が少なくなる」
「じゃあ、和田さんの『魔法』で援護……」
「すいません、相手が見えてて、かつ、相手の『気配』を捕捉えられてる場合しか効かないんで」
「ちなみに和田さんの『魔法』の『有効射程』は……?」
「ピストルと同程度すっかね? 10m未満っす。ついでに、効果範囲内でも壁越しとか見えてない相手には使えないっす」
「ああ……え……えっと、『魔法』って、そういうモノなんですか?」
「いえ、理屈の上では、気配さえ捕捉えてれば使える筈なんですけど……たまに居るんですよ……先入観とか、そ〜ゆ〜ヤツのせいで……上手くいかない場合が有って……その……」
「つまり、和田さんも、そのパターンって事ですか?」
「はい。あ、聞いた事有りません? そ〜ゆ〜モノが見えちゃう人達の中にも、壁越しだと気配は捕捉めるけど、先入観が邪魔して、見えない場合が有るって。それと同じよ〜なもんです」
クソ、役に立たねえ「異能力者」どもだ……。
「あと……すいません、あらかじめ言っときますけど……その……」
役立たずの特務要員の片割れが、すまなそ〜な口調で、何か「衝撃の告白」ってヤツをするつもりらしい。
「何ですか?」
「今回は大丈夫っすけど……」
おい、「今回は大丈夫」なら、お前が突入しろよ……。
「俺の『精神破壊』は……『貯め』に秒単位の時間がかかるんで……」
「それで……?」
「ちゃんとした流派の訓練を受けた『魔法使い』系とか……何なら、ちょっと勘が鋭い一般人でも、俺が能力を使おうとしてんのを感付かれる可能性が高いっす」
ああ、つまり、使い所を間違うと、能力を発動する前に優先的に攻撃されかねない訳ね。
ん……?
「あの……今、変な事言いませんでした?」
「何すか?」
「『ちゃんとした流派の訓練を受けた』とか……」
「ええ……」
「で、和田さんも、ちゃんとした流派の訓練を受けてる『魔法使い』系なんですよね?」
「……」
「あの……」
「…………」
「あ〜、こいつ、『先天的魔法使い』タイプの『超能力者』だ。訓練は完全に我流だ。マトモな訓練を受けたのは……特務要員の新人教育の間だけ……」
「ホント?」
役立たずの「精神破壊」能力者は……ゆっくりと首を縦に……。
「ええっと……俺、特務要員の人達と、一緒に仕事した事があんまり無いんで、良く知らないんですけど……特務要員の新人教育期間って……?」
和田の阿呆は……指を2本立て……。
「2年間?」
「いや、2ヶ月間」
レコンキスタ久留米支局は、役立たずどもの廃棄処分場か何かか?
それとも、他の支局でも、特務要員なんて御大層な名前を名乗ってる連中は、こんな感じなのか?




