(17)
「まぁ、気にすんな、俺と眞木が童貞捨てたのも、今の、お前ぐらいの頃だ。つ〜ても、2〜3年前だけどな。警察官つ〜ても、俺達は荒事部隊だ。いつかは人を殺す時も来るさ」
「あ……あの……隊長……それ……慰めてるつもり……?」
「一応……」
「『はじめての人殺し』を『童貞を捨てる』なんて呼ばないで下さい……。大体、眞木さんはどうなるんですか?」
「どうなるって、何が?」
「あの人、女……」
「いや、あいつの心には、並の男よりデケえ@#$が有るに決ってるだろ」
「すいません、精神安定剤と水、持って来ました」
その時、庶務担の重松さんの声。
「あ、どうも……おい、飲め」
「はい……」
とりあえず、K−SAT達は仲間の死体を2つ置きっぱなしにして撤収した。
まぁ、K−SATの死体の1つは原型を止めてないが……。
俺と隊長と庶務担の重松さん、そして県本部のIT屋さん2人は無事だった。
「ん?」
隊長がそう言って、携帯電話を取り出し……。
「わかった、すまん、こっちも色々と有ってな……なるべく早く行く……」
「眞木さんからですか?」
「ああ、眞木と大石の装甲服と武器を運べ。秋光さん達も到着して、全員無事だけど……まだ、かなりエラい事になってるみたいだ」
「え……えっと……隊長の装甲服は……?」
「それが問題なんだよ……俺と重松さんが承認するとなると……俺のだけ装着出来ねえし……眞木に承認してもらうにしても」
たしかにそうだ。困った。
今は指紋認証で起動するしか無いが……指紋認証しようとすると、一度、スーツを脱がないと……誰だ、こんな阿呆な設計にしやがったのは?
「通信機能をブッ壊さないと起動出来ない以上……今の状況じゃ隊長機は汎用型と大して変りません」
IT屋さんの女の方が、そう説明する。
「戦力は減る……でも、元から手枷足枷がかかってるから……仮に起動しても……」
まぁ、たしかに汎用型と隊長機や副隊長機の主な違いは制御用のコンピューターの機能や通信機能なんで、通信に制限が有る状態じゃあ、汎用型と隊長機は大して変らない。
「眞木さんのパワー型の方が、まだ、戦力になるって事ですか……」
「すいません、皆さん、俺が、何とか残業代とか代休は上と交渉しますので……」
「わかりました……とことん付き合いますよ……」
「了解です……」
IT屋さん達は、疲れたような声で、そう言ったけど……。
「じゃあ、私、最悪は『隊長に脅されて従った』って事に……」
重松さんは、平然とそう言った。
「ま、それが賢いかも知れないっすね……じゃ、ちょっと芝居するから動画撮って」
隊長も、平然と、そう答える。
「は?」
「いや、だから、ここまで無茶苦茶な事が置きてんだぜ。最悪の場合は、もう、全部、俺に責任押し付けろ。その時の為の証拠映像を、今から捏造すんだよ。よし……携帯電話の準備は?」
「えっと……まあいいや……はい……」
「じゃあ、3、2、1、0で撮影スタート。俺が天井に向けて拳銃発射したら、カットね」
「了解です」
「じゃ、3、2、1、0……おい、お前ら、ガタガタ言わずに、とっとと装甲服を車まで運べッ‼ 言う事聞かねえ奴は……」
そして、銃声……。
「あの……隊長、1つ言っていいですか?」
「何すか、重松さん?」
「芝居下手ですよ」
「俺達は荒事部隊なんで、いつも被疑者の取調べやってる連中より芝居っ気が無いんすよ、残念ながら……」




