(13)
「何やってんですかッ⁉」
意識を取り戻した途端、隊長の怒鳴り声。
「い……いや……その……俺の能力って、相手の心に隙みたいなモノが出来てると効き目が強く……」
「でも、あれは無いでしょ。それに、何で、味方まで……」
「ごめん、複数同時に狙うのが苦手で……」
いつの間にかオフィスのソファに寝ていて……そして、和田さんが隊長に怒られてた。
だんだん、状況が把握出来てきた。
ウチのチーム、何か、人事部に怨まれるような真似でもやらかしたのか?
配属された特務要員は……我流の訓練しかやってない精神破壊能力者。
本人曰く、「射程距離は10mぐらい」「壁越しとかの見えてない相手には使えない」……そして、新たに判明したのが「目標が複数人の場合は、味方まで巻き込む可能性あり」。と、ゆ〜か、この能力、逃げ遅れた一般市民が居るような状況で使ったら、洒落にならん事になるのでは?
更にオマケが「その能力を持ってる人が阿呆」。
現場に出動させちゃアカン奴だよ、絶対……。
「あの……あいつら、何だったんですか?」
「身分が判るモノは車の運転免許ぐらいだった。名前だけなら、福岡県警の公安に同姓同名の奴が居た。4人全員な。で、今、顔認証サーバーに照合をかけてる……ん? どうしたの?」
庶務担の重松さんの顔が青くなり……そして、PCのキーボードを叩き……。
「接続出来ません……警察内のイントラにも、インターネットにも……」
「え? 嘘でしょ?」
「このオフィスのルーターが落ちてるみたいです」
「え? ちょっと待って……」
隊長は無線機を取り……。
「おい、そっちの状況、どうなって……何、今の銃声? わかった……後で……」
今や、ここのオフィスは「電子情報的には陸の孤島」と化してしまったらしい。
唯一の外部との繋がりは……無線通話と個人所有の携帯電話だけ……。
「レンジャー隊員は全員、強化服を着装。特務要員の2人は防弾ベスト着用。全員で眞木達の補佐に向う。あと、ここ、何が起きるか判んないから、重松さんは、早退して」
「出来ません」
「何で?」
「強化服のロック解除は、通常は県総局のサーバーと接続出来てないと無理ですよね」
「あ……」
「手動解除には、隊長・副隊長・庶務担の内、2名の承認が必要な筈です」




