運命の夜明け
エルドール王国は、闇に飲み込まれようとしていた。
暗黒の魔法が空を覆い、人々の希望を奪い去り、恐怖が街角の影から顔を覗かせていた。
だが、最も絶望的な夜にさえ、運命はその糸を紡ぐ。
古の予言者が声を上げた。
「呪われし血を引く者がエルドール王国に不幸をもたらそうとしている。そして灰から生まれし者がその運命を握る。」と。
その声は、嵐の中での稲妻のように、一瞬で王宮の最深部へと届いた。
マリアンナは、その夜、屋敷の豪華な部屋の窓から外を見ていた。
彼女の目は、星一つない空を見つめ、心は予言の言葉を巡らせていた。
彼女は呪われた血を引く者…自分自身を指していると知っていた。
その時、遠くで緊急の鐘が鳴り響く。
危機が迫っていた。
一方、町の外れの小さな家では、シンデレラが床にひざまずき、煤けた暖炉を掃除していた。
彼女の手は黒く染まり、顔には疲労がにじんでいた。
鐘の音に、彼女は窓を開け、風に乗ってくる予言の断片を耳にした。
「灰から…」彼女は呟いた。
その瞬間、暖炉の中から不思議な光が溢れ出し、シンデレラの周りを渦巻いた。
そして、輝く靴が現れた。
彼女の運命が、今、動き出そうとしていた。
屋敷では、マリアンナが秘密の書庫へと足を進める。
呪われし血の秘密を解き明かす鍵がそこにあると確信していた。
書物に埋もれた部屋で、彼女は古文書を手に取り、浮かび上がる古の文字を追い始めた。
ふたりは知らず知らずのうちに、暗黒を砕く冒険へと足を踏み入れていた。
運命の夜明けが、彼女たちを待ち受けている。