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効率厨は理屈を捨てたい。  作者: 東雲ナエル
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第五話 勧誘される藤宮君

「藤宮。新年度二週目にして遅刻か」


 はあ~とため息をつくのは、担任の吉村赤梨よしむらあかり

 新年度早々に遅刻してしまったので一限目の終わり、職員室に呼び出されてしまった。


「すいません......」


 昨日、なかなか寝付けなくて漫画読んでたらむしろ熱中して夜更かししてしまったんだよなぁ。

 でも目つぶってんのに眠れないってなんか無駄な時間を過ごしてる気になるし......。


 早く教室に戻りたいので反省の顔を作る。


「まあ気をつけろよ」


 ふぅ。これで何事もなく......


「あ、そうだ。藤宮はどこか部活入らないのか?」


 まだ教室には帰れないようだ。


「入部って大体一年生ですよね。それに俺は興味ある部活とかないんすよ」

「興味とかなくても友達と一緒の部活に入ったり、それか入った部活で友達を作ったりすれば?」

「別にわざわざ興味ないものを友達とやる必要なくないっすか」

「かぁーー‼折角の青春をドブに捨てる気かよっ!」

「俺は俺なりの青春を......」


 いかに無駄なことをしないか、それが俺の青春だ。


「放課後とか何してんだよ。部活なかったら楽しくないだろ??」

「いや楽しいっすよ」


 これ以上は埒が明かないと思ったのか吉村もあきらめる。


「んぁ~もういいわ。お前今日の放課後は私の仕事手伝え」

「え⁉」

「遅刻の罰だ」


 さっきもう許したみたいな雰囲気だったよね!?


「さっき何も言わな――」

「うるさいうるさい、どうせお前部活もないし暇なんだからいいだろうが」

「......わかりました」


 部活入らないって言っただけでこれかよ......。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 お昼休み。


 今日は守と天音と大神の三人と弁当を食べている。

 天音が誰かと一緒に食事をしているのが珍しいからか、たまにクラスのあちこちから視線を感じる。


「天音さんの人気すごいね」

「すみません。私のせいで......」

「全然迷惑じゃないよ!ただこれじゃ天音さんも気楽に話せないだろうし、私はいっぱい話したいから......」

「......私もいっぱい話したいです!」


 天音と大神はすぐにも仲良くなりそうだ。


 それを見た守がニヤニヤしながら耳打ちしてくる。


「この組み合わせ、なんかえっちだな」


 なんだこいつ。

 まぁ天音さんに仲の良い同性の友達ができるに越したことはない。二人が卒業までずっと仲良いといいな。


「数日すれば落ち着くだろ。それまで我慢か、もしくは教室じゃないところでも......」

「理。お前、そんなやつだっけ?」

「え?」

「いや、いつものお前なら『まぁ別に1人ずつ食えばいいけどな』って言うかと」

「あー」


 確かに教室じゃないところにわざわざ行くの面倒だよな。

 なんでだろ。別に理由とかなく自然と......


 突然教室に大声が響いた。

 

「藤宮くーん!!いますかー!!」


 教室内がざわつく。


 ドアから覗いて俺を探しているのは三年の田中皆実たなかみなみ先輩だ。

 

「はい」


 立ち上がって呼びかけると、田中先輩は猛ダッシュで駆け寄ってきた。


「お願い、助けて‼」


 突然の救援要請に、俺たちは顔を見合わせるほかなかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「なるほど。部員が少なすぎて廃部寸前ですか」

「そうなの。前年の三年生が多かったから危機感がなくてそれに今年の二年生も何人かやめちゃって......」


 今は三年生が田中先輩一人で二年生が二人。

 一年生も今のところ入部したいと言ってくれた人は誰もいないらしい。

 部活を続けるには最低五人必要だからあと二人か。


「で、なぜ俺に?」

「入部してほしいの!藤宮君が入ってくれたとしてもまだあと一人足りないけどとりあえず!」

「去年断りましたよね?」

「でも、見学に来てくれたじゃん‼」

「いや、あれは守に無理矢理連れていかされて......」


 守が当時何の部活にも興味を示してなかった俺に、「理なら無双できるから安心しろ。行かないならバスケ部の入部届を提出する」って半ば脅迫をして連れて行ったっけ。

 守の方を見ると、何のこと?と言うかのように鼻歌を唄っている。


「藤宮君、去年見学に来てくれた時三年生全員とディベートして勝ってたじゃん!」

「「すご!!」」


 天音さんと大神が目をキラキラさせてこちらを見てくる。

 まあそれは事実だけど......。


「藤宮君が入ってくれたら絶対憧れて入部したいって思ってくれる一年生も増えると思うの......‼」

「そんな人いないっすよ」

「そこをなんとか!」

「とにかく、無理なもんは無理――」


 押し問答をしていると面倒くさい人が割り込んできた。


「君たちー!なんの話をしているんだーい?」

「吉村先生!」


 田中先輩が先生の名を呼ぶ。


 あ、そっか。ディベート部の顧問してるから、田中先輩と面識あるのか。


「実は――」


 俺たちは吉村先生に事情を説明した。

【予告】第六話 論破する藤宮君

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