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効率厨は理屈を捨てたい。  作者: 東雲ナエル
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第三話 知り合いの天音さん

「はい、じゃあ終わります」

「起立。気をつけ。礼」

「「「「「「あざした~」」」」」」


 帰りのホームルームが終わった。

 皆、掃除のために自分の机と椅子を端に寄せる。


 今日は金曜日だから今年初めての掃除当番。

 さっさと終わらせて帰ろう。


「よし、じゃあ手分けして......」


 ふと同じ掃除班を見ると、六人が雑巾と箒を持っていた。


「っしゃ行くぜー‼」

「ちょっ、待て」

「もう、なんだよ」

「いやいや、雑巾は二人で箒は一人でいい。廊下のモップ掛けに一人必要だから、後の二人と俺は雑巾と箒がかけ終わったところから順に机を運ぼう」

「ん~確かにな。よしお前らそれでやるぞー‼!」


 こいつら、効率とか考えたことないのかよ......。

 あれ、掃除班って全員で八人のはずだよな。

 あと一人は――――


「遅れましたー!」


 天音結衣が息を切らしながら教室に入ってきた。


「今始めるところだから」

「そうなんですか、お腹痛くて。もう大丈夫ですけど」


 天音は、あはははと苦笑いをする。


「えっと私は何したらいいですか?」


 あとは役割が机運びしか残ってないが......


仮屋かりや、箒代わってくれるか」

「ああ、いいぜ。藤宮も楽したいんだな」

「うるせぇ」


 ニヤニヤする箒担当から箒を受け取る。


 よし、これで......。


「天音さん、箒やってよ」

「えっ......ありがとうございます」


 天音は戸惑いつつも少し顔を赤らめる。


 机運びは男がやった方が早いからな。

 うん、俺も机運ぼう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「よし、これでオッケーと」


 ゴミ袋の口を結んで縛る。

 教室のゴミ袋を一階外庭のゴミ置き場に持っていくのも掃除班の仕事だ。

 最後全部の机を整頓しているうちに誰かが行くというのが効率の良い方法である。


 藤宮がプラと燃えるゴミで分別された二つのゴミ袋を持って教室を出ようとすると呼び止められた。


「藤宮君、私も一つ持っていいですか?」


 別に一人で持てるんだけどな。


「俺一人で運べるよ」


 ふん~と不満そうな天音。


「持ちます!」

「そ、そうか。じゃあよろしく」


 結局天音さんの圧力に負けて一緒に行くことになった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ゴミ出しの帰り道。


..............................。


 当然のことながら終始無言だ。


 天音さんが行くって言ったのになんもしゃべらないのかよ......。

 まあ喋らなくていいなら、それに越したことはないんだが。


 そんなこんなで教室に着いてしまった。


「もう皆机並び終えて帰っちゃいましたね」


 教室に二人っきり。


「......じゃあ俺、帰るから」

「そうですね、では......」


 鞄を肩にかけ、扉に向かう。


「あの......‼」


 天音が俺の裾をつまんで呼び止めた。


「良かったら......私と友だ――――」


 ガラガラッ。


 開いた扉から誰かが顔を出した。


「理~。いるか~?」


 深瀬は、二人の状況を見つめた後ス―ッと去ろうとする。


「お邪魔しましたー」

「ちょっと待てー!」


 すぐさま深瀬に引き留める。


「気を遣ったんだぞ~」

「天音さんはただの知り合いだ。それにお前、帰ったんじゃなかったのか」

「バスケ部に顔出してたんだ。練習はなかったんだけど入部志望の新入生との顔合わせ的な感じ?」


 守はバスケ部に所属している。俺とは違って運動神経が結構いい。


「なるほど。んで俺になんか用か?」

「久しぶりにゲーセン行きたいなと思って誘いに来た。大神も来るってよ」


 ゲーセンほどコスパが悪いゲームはない。

 ただ......


「どうせ断っても無理やり連れてくんだろ」

「わかってんじゃん」


 守には逆らえない。


「天音さんも一緒に来る?」

「え、ちょ、おい!」


 今まで置いてけぼりだった天音は、突然の攻撃に固まった。


「守、距離感おかしいぞ」

「そ、そうだよな......じゃあ――」

「行きます!」


 予想外の返答に唖然とする。


「お、おい、天音さ―――」

「まじ~!?行こうぜ行こうぜ‼」

「はい!」


 どうしてこうなる......。

【予告】 第四話 知り合いの天音さん

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