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異世界転生は女の子で。~草木に囲まれて錬金術スローライフ~  作者: 滝川 海老郎


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第16話 班行動と参観日

 結局、夜メルシーに事情を軽く説明して、誤解は解けた。

 私は別に男の子を取られたと思ってないよと。

 そもそも、メルシーのほうが好きだよといったらほっぺを赤くしていた。


「おはようございます、エルダ様」

「うん、おはよう、メルシー」

「今日も、いい朝ですね」

「そうだね。春だもんね」


 そうそう、この世界でも日本と同じように春に学校がはじまる。

 国によっては九月だったりするので、注意は必要だろう。

 知らなくて非常識な会話をさも知ってるかのように話したら不自然だし。


 一年は普通に十二か月だし、春夏秋冬も一緒だ。

 北半球なのもそうだと思う。

 太陽が左側から斜めに上がって、右側へと沈んでいくから。

 球形なのだろうけど確証はない。

 なんせファンタジーが跋扈(ばっこ)する、謎世界なので。

 三次元空間が歪んでたりすると、その限りではないのだ。

 おーこわ。異世界こわ。


 学校に通うこと数日。

 班決めなるものが決行され私は案の定、ケール男爵令嬢とゲレン子爵令息と一緒の班になった。

 ところがもう一人いたのだ。


「あの、ムートリア男爵家、次女ユーリアです」

「あ、はい、よろしくお願いします」


 私は笑顔を張り付かせて挨拶した。

 ちょっと貧乏そうなのだ。服が破けているし、汚れが目立つ。

 いわゆる没落貴族というものなのだろう。

 それでも男爵家だ。貴族には違いない。

 女の子だから、綺麗にすればもっとかわいいだろうに。

 茶色い髪に丸い瞳は確かに可愛らしいが、その服装は同情を誘うのに十分だった。


「ああ、ユーリア嬢、よろしく頼む」

「ユーリア様、よろしくお願いします」


 みんなでぺこぺこしあって頭を下げた。

 ここは差別をしないという建前の学園だからね。


「ユーリア様のお家は何の仕事を?」


 ケールちゃんが間を保てなくて質問した。


「えっと、お恥ずかしいのですが、閑職だとしか」

「そ、そうですか」


 閑職。それは左遷とかされてすみっこぐらしのあれだ。

 武官は忙しいのが常なので、文官なのだと思われる。


「土日はいつも遊んでくれます」

「そ、そうですか」


 さすがのケールちゃんもちょっと笑顔が引きつっている。

 にっこり答えてくれたユーリアちゃんには悪いが、それは暇なのだろう。

 うちのお父様は土曜日も仕事をしているし。

 たまに土日でも書斎にこもって書き付けをしていることもある。

 秋は時間があってよかった。キノコ狩りにいかないといけないから。


 しかも、ユーリアちゃんにはお付きのメイドさんがいない。

 お金がないのだろう。


 ということでこの八人、おっと七人が私たちの班になった。



 参観日がある。

 この世界にも普通にあるんだな、というのが感想だった。

 ケールちゃんとゲレン君のお母様はさすが貴族っぽい感じの人だった。

 優雅にドレスを着てやってきた。

 一方のユーリアちゃんは両親が揃ってやってきたけど、どちらもシンプルな服装でうん、貧乏そうだ。

 しかしそれに反して仲は一番よさそうで、そういう家庭も実は悪くないのかもしれない。

 他人から見たら貧乏かもしれないけど、心は豊なのだろうと。

 ユーリアちゃんは貧乏でもめげずにいつも頑張ってお勉強をしている。

 将来いいお嫁さんになって、家を建て直すんだそうで。

 結婚したら男性の家に行くことが多いので、実際のところどうなのかは知らない。


「ユーリア」


 ユーリアちゃんのお母様が手を振っていた。

 かわいらしい人に見える。表情も幸せそうだ。

 私たち三人のお父様は今日も仕事なので、そのへん待遇が違うのだろう。

 閑職もたまにはいいこともあるようだ。



 そうしてこうして、社会科見学のようなものをする日になった。

 何をするかというと、乗合馬車の乗り方を体験するという普通のものだ。

 小さい子からしたら一大冒険なのだろう。

 私もそうだといえば、そうなんだけど、バスくらい乗ったことあるもんね。前世で。


 みんなで出かけていき駅前に再集合する。

 ここでいう駅というのは駅馬車のロータリーのことで電車や汽車はない。


「トップはゲレン君の班ね」

「はい、先生!」


 ゲレン君がリーダーらしくはっきりと手を上げて返事をする。

 別にすごくもなんともないが、最初に乗合馬車に乗るのだ。

 普通のバスと違って馬車って十人くらいしか乗れないのだ。

 それで七人班なので他の班は一緒には行けない。

 それから貴族を待たせるのはよくないので最初というわけ。


 しかししばらく待たされる。

 次の馬車はもうお客さんで満席だった。

 ゲレン君も一瞬険しい顔をしたけど、切り替えてしょうがないか、という顔をする。

 怒るのかと思ったけど、そこまでではないらしい。

 まあ怒るのって恥ずかしいしね。


 少し待って次の便がようやく到着した。


「御者さん、よろしくお願いします」

「「「よろしくお願いします」」」

「はいよぉ」


 みんなで挨拶するとおじいさんがにっこりと微笑んでくれた。

 この人が本日の御者さんだ。

 元農家とか健康だけど暇な人などが御者の仕事を請け負うみたいで、いろいろな人がいるらしい。


「アグリード学園前までお願いします」

「もちろんだよ、では出発」


 みんなで先に運賃の銀貨を手渡して乗り込む。

 自己申告だけど運賃は前払い制なのだ。

 御者さんは全員分覚える必要があるってことなのだろう。

 それはそれで普段なら大変そうだ。


 ギッタンバッコンと街中でもそれなりに揺れる。

 うへぇと思ったのは私だけのようで、みんなケロッとしていた。

 これはあれか、みんな馬車慣れしてるのかな。

 怖い世界だ。


「「ありがとうございました」」

「ありがとうございました、うぷ」


「おい、エルダ様、大丈夫か?」

「大丈夫、ありがと」

「あ、うん」


 私がそっけなく返すとゲレン君が頬を赤くしてそっぽを向いた。

 あれ、婚約者がいても、私にもそういう態度なんだ。

 重婚オーケーだそうだけど、私は嫌だよぉ。



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