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 初めは、淡々とすすんでいきますが、3話目くらいから会話が増えて後半にかけてどんどん面白くなっていくはずなので、物足りなくてもちょっとだけ長い目で見てください。

 よろしくお願いします。

「シオン・メティアトルテです。本日はわざわざお越しくださったのに、大変申し訳ありませんが、私は誰とも結婚する気はありませんので」



 2週間前に、婚約が決まった。婚約者との顔合わせをした後はそのまま結婚まで滞在して、侯爵家のことについて学ぶよう言われ、今日は荷物をまとめ、メティアトルテ侯爵家にやって来た。


 侯爵家に着くと、玄関には侯爵はもちろん婚約者すら姿がなかった。あまり歓迎されていないのかしらと不安になったが、歓迎されていないどころではなかった。


 応接室に入った私達に、シオンは挨拶すると同時に、結婚の意思がないと告げたのだ。

 

「シオン!! 何を言ってるんだ!」


 メティアトルテ侯爵は当然のように声を荒げた。


「父上こそ、何てことをするのですか! 俺が結婚しないと何度も言ったのに、こんな騙し討ちのようなことをして。俺は結婚なんかしない!」


「シオン、往生際が悪いぞ」


 メティアトルテ侯爵は、苦々しげな顔でシオンを睨み付ける。


「私は何度も言ったはずです。結婚はしないと」


「侯爵家の跡取りはお前しかいないのだ。お前以外に家督を譲る気はない」


「レナートやグラハムがいるではないですか」


「分家の者を家に迎え入れろと?」


「ええ。問題ないと思いますが」


「ふざけるな! エリザベス嬢とはもう婚約したんだ。婚約破棄して彼女の経歴に泥を塗るつもりか?」


「何を言ってるのですか。あなたが勝手に決めたのではないですか。私が絶対に結婚しないと言ってるのを無視して。父上こそ彼女と伯爵家を蔑ろにしているではないですか」


「こんな美しい令嬢の何が不満なんだ」


 ちょ、ちよっといきなりこちらに振らないで欲しい。いきなりの展開についていけずボーッとしていた顔を、とりあえず引き締めた。


「美しいかどうかに興味はない。そもそも結婚したくないのだから。ユルンハルク伯爵、ご令嬢、本当に申し訳無いが、結婚は出来ない」


 そう言うと彼は深々と礼をして部屋を出ていった。結局一度も私を見ようともしなかった。


「待ちなさい!!」


 メティアトルテ侯爵も、彼を追って部屋を出ていった。残された私と父は顔を見合わせて、二人同時にため息をついた。


「エリザベス申し訳ない。まさかシオンくんが同意してないなんて知らなかったんだ」


「お父様のせいではないわ。でもどうなってしまうのかしら」


 二人でボソボソ話していると、メティアトルテ侯爵が戻ってきた。


「ユルンハルク伯爵、エリザベス嬢、大変申し訳ない。シオンがあそこまで頑なに結婚を嫌がると思わなかった。女性に対してちょっと苦手意識が強いのだが、あれほどとは……これは私の落ち度だ。どうか当初の予定通り、しばらくこちらに滞在して、少しずつシオンと仲良くなって欲しい」


「しかし、あれほど頑なですと……」


 さすがに父も躊躇っている。


「エリザベス嬢にこちらに滞在していただけるなら、結婚するまでの間、伯爵家に毎月お金をお支払いする。もちろん、万が一結婚出来なくても返して頂く必要はない。どうかしばらくシオンと親しくなるため我が家で過ごしていただけないだろうか?」


 侯爵の言葉に父の顔が輝いた。そして、ハッとして私を見る。

 我が家の内情が厳しいのはよく分かっている私は、父を安心させるように微笑んだ。


「お父様、私は大丈夫です。どうなるか分かりませんが、出来る限りの努力はしてみます」


「エリザベス嬢ありがとう」


 こうして私は、当初の予定通り侯爵家に住むことになった。


 侯爵家が、貧乏な我が伯爵家と婚約を結ぼうだなんて不思議だと思ったのだ。侯爵は、貧乏な我が家なら、こういう事態になっても他家よりは丸く収めやすいと思ったに違いない。


 シオン様が、婚約者を目の前にしたら無下に出来ないから諦めて結婚するだろうと、侯爵は無謀な賭けに出たのかもしれないが、あっさり負けたようだ。私の人生を巻き込まないで欲しい。




 その日から侯爵家の人々と夕食を共にすることになった。彼は相変わらず、こちらを見ようともしない。侯爵夫妻が、会話に参加させようと話を振っても無視している。私が話しかけるとかろうじて、一言二言返事をしてくれた。両親に腹を立てているのだろう。気持ちはよくわかる。しかし、居心地が悪すぎるのでやめて欲しい。彼は早々に席を立ってしまった。


 彼は朝は王城へ出仕する為、一人で早目に朝食をとる。

 両親が居なければ彼ももう少しまともに話してくれるのではないだろうかと期待して、早起きして彼と朝食を共にすることにした。


 「おはようございます」と挨拶すると「おはよう」とは返ってくるが、あとは何を言っても相変わらず「ああ」か「いや」程度の返事しか返ってこないし、顔すら見ようとしない。両親が居なくても全く一緒の対応だった。

 彼は、食事を部屋で取ったり、時間をずらして食事をするようになってしまい、彼とほとんど一緒に過ごすことなく1週間が過ぎた。

 「月の女神と呼ばれる美人な姉ですが、見た目と中身のギャップが詐欺レベルです」という作品も書いています。

 「月の女神」は第一話から強烈なのでそれに比べたら、「私の結婚どうなっちゃうの?」は初めのうちはかなりおとなしめですが、二人の会話が増えるにしたがって、面白くなってくると思います。特にシオンが大好きなので、気に入っていただけるといいなあ。


 最後まで書き終わっているので修正しながら投稿していきます。最後までくじけないようブックマーク等で応援していただけると嬉しいです。

 読んでいただきありがとうございました。

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