幼馴染みと勉強会⑥
あぁ……やばい全然集中できないし……とりあえずノートに書いたりしてるけど、それが頭に入ってこない……それにしても、なんで海斗は普通に勉強できるのよ……私みたいにドキドキしたり緊張とかしてないのかな……
「はぁ……」
「ん? どこか分からないところでもあったのか?」
「ううん! ただ少し集中力が落ちだだけだから……」
「確かにもうこんな時間か……」
ふと、時計に目をやると勉強を初めてから1時間半位経っていた。
「少し休憩しようよ。 ちょっと待ってて、母さんに海斗の制服どうなってるかも聞いてくるからさ。」
「ありがとう麗夏」
海斗にそう言ってリビングへ向かうために階段を降りてると、とても美味しそうな匂いがした。
その匂いがするリビングへ入り、晩御飯の支度をしてる母さんに話しかけた。
「ねぇ母さん。 そろそろ海斗が帰るんだけど制服どうなってるかな?」
「えっ? ……ああ! 乾燥機回すの忘れてたわ!」
「えぇ!? ど、どうするのよ!」
「今から急いで回すから海斗君にそう伝えて、あと夕飯もついでに食べてくように伝えて」
「わ、わかった……え? 晩御飯に誘うの!?」
確かに今から乾燥機を回してた、帰る頃には時間も遅くなるけど……
「そんなに変に考えなくてもいいわよ? 元々海斗君か来た時点で晩御飯誘う予定だったし。 母さんがもう準備してるかとでも言っといたらいいわよ」
「とりあえず、海斗に話してくる」
「ちなみに、今日の晩ご飯はカレーにしたから」
私はそれだけ聞いて、海斗が居る自室へ戻り説明した。
「──という訳だけど……晩御飯食べてって」
「とりあえず、母さんに連絡だけ入れてみるよ」
そう言って、海斗はスマホを操作し始めた。 すぐに返事があったらしく、海斗はスマホを見ながら驚いてた。
どっちなんだろ……駄目とか言われたのかな……母さんのカレー凄く美味しいから食べて欲しいし……もう少し一緒に居たいのになぁ……
「その……お言葉に甘えて、晩御飯食べてってもいいかな?」
少し困り顔でそう海斗が言ってきた。
「ほんと!? もちろん食べてってよ! 母さんのカレーすっごく美味しいんだから!」
まだ一緒に居れるとわかって、とても嬉しかったから我ながら子供みたいで恥ずかしくなった。 そう言えば、なんで困った顔してたんだろ?
「海斗のお母さんに何か言われたの? ……ほら、私の事嫌ってるだろうし……」
「母さんは何も言ってないから大丈夫だ……それに、麗夏の事も嫌ってる訳じゃないと思うんだよ……なんかこう、上手く言えないけど……戸惑ってるのかも……?」
「えっ? そうなのかな……」
「今まで母さんは、花音の事を応援してただろうし……まぁ、多分今もだろうけど。 ただ、麗夏にも同じ事をしたら、花音が可哀想になるとか……んー上手く言葉に出ないけど、とりあえず言える事は、麗夏を嫌ってたら、今日も晩御飯をご馳走になるとか言っても許してくれないと思うんだ。 だから、そんなに気にしなくていいと思うよ?」
「そうなのかな……そうだといいなぁ……海斗のお母さんに嫌われてたら、付き合えても辛いから……」
海斗の言葉に、私はつい思ってた事をそのまま口に出してしまい、そのまま嫌われてないかもって思ったら嬉しさと安堵で涙が溢れ止まらなかった。
海斗はそんな私を黙って抱き寄せ、泣き止むまで静かに頭を撫で続けてくれた。




