幼馴染みと勉強会④
「あら? 話ってなにかしら?」
おばさんは、キョトンとした顔でさっき座ってた椅子に座った。
「実は……麗夏との事なんですけど……」
覚悟を決めたはずなのに、いざ口にしようとすると上手く言葉が出てこない……
「もしかして……あの子の事嫌いになったとか?」
「いえ! そんなんじゃないです! 麗夏が好きなのは本当です! でも……」
「でも?」
「もう1人の女の子とも同じ様にしてるんです……もちろん麗夏もそれを知ってます……」
「そうなの!? つまり……」
「順を追って説明をちゃんとします」
俺の話に驚いてるおばさんに、最初からちゃんと説明をした。
話を聞いてる間、おばさんは静かに聞いてくれた。
「──という訳なんです……騙すような事していてすみませんでした!」
俺は、謝って目一杯頭を下げた。 暫く沈黙になり……
「ちゃんと知ってたから、大丈夫よ。 ちゃんと海斗君からの口で言ってくれてありがとう」
「えっ!? 知ってたんですか?」
なんで? 麗夏が話したのか? いや……とても言えるような話では無いはずだ……
「最初に聞いたのはGW明けだったかしら、麗夏が嬉しそうに言ってきたのよ。 あの子ったら『やっと同じスタートラインに立てたから、絶対負けない』って張り切ってたのよ?」
「そ、そうだったんですか……」
「小学校の頃だったかしら、あの子帰ってきて嬉しそうに海斗君の事話してたのは……でもある日急に話さなくなって喧嘩でもしたのかと思ってたら、一緒に居るし不思議だったんだけど、色々話を聞いて納得したの」
「色々……ですか?」
「えぇ、私からは話すことじゃないと思うから言わないけどね」
そう言って少し水滴が着いたグラスに入ったお茶をおばさんは飲んだ。
「その後に、海斗君のお母さんとかと会った時に聞いたかな。 海斗君のお母さんは、最初は不機嫌そうだったけどなんか昔を思い出して最後の方は仲良く話したりしたの」
「はぁ……え? おばさん母さん達と知り合いなんですか!?」
「あら? 聞いてないのかしら? 花音ちゃんの両親と海斗君の両親とは昔一緒の高校だったのよ?」
はぁ!? なにそれ全く聞いたこと無かったんだけど!? それなら……なんで麗夏の家とは一緒に出かけたりしなかったんだろ……家が遠いから? それとも……
「まぁそういう事だから、私も事情はちゃんと理解してるつもりだから、ただ……」
おばさんは、そう言って急に真剣な顔でコチラを見てきた。
俺は、急に空気が変わった感じがし、背筋が自然と真っ直ぐになり、言葉を待った。
「あの子と海斗君が付き合って欲しいから、私はこうやってあの子を全力で応援しちゃうんだけどね」
そう言った瞬間リビングの扉が開き、振り向くと……麗夏が立っていた。
パジャマ姿の麗夏に俺は、つい視線が膨らみに向かいそうになるのを必死に耐え、視線を逸らした。ただでさえ、普段絶対に見ることの無い姿だし、シャワー後だからか……凄く刺激が強く感じた。
俺は自分自身と必死に戦いながら、一言二言喋って逃げるように洗面所へ向かった。向かいに座ってたおばさんは、悪戯が成功して嬉しそうに、ニコニコして俺たちを見ていた。




