幼馴染みと勉強会②
「ただいま! 海斗少し待ってて、すぐタオル持ってくるから」
「ありがとう。 助かるよ」
雨自体はそんなに強くなかったけど、走ったせいで私も海斗も汗をかいてた事もあり、急いでタオルを取りに行こうとした。
「おかえりなさい……あら!海斗君いらっしゃい」
私が靴を脱いだぐらいで、リビングから母がでてきた。
「2人とも濡れてるじゃない、そのままじゃ風邪ひいちゃうから先にシャワーでも浴びちゃいなさい」
「い、いえ! そんな……着替えとかもないですし、そこまで濡れてないので大丈夫ですから」
「主人ので良ければとりあえずの着替えはあるから気にしないで、帰りは私が家まで送ってあげるから、ついでに洗濯と乾燥もしといてあげるから。 ほら、麗夏も早くシャワー浴びてきなさい。 海斗君がいつまでも入れないでしょ?」
「ちょ、ちょっと! か、母さんそんなに押さないで危ないでしょ!?」
私は押し込まれる形で洗面所へと連れてかれた。ドアが閉まる前に、私は母さんを睨むように顔を向け、無言の訴えをした。
そんな私を見て、母さんはクスリと笑い小さな声で話しかけてきた。
「ほら、最近元気無かったのに、海斗君が来た瞬間に元気になっちゃって。 せっかくなのに汗臭いのは嫌でしょ? 海斗君は私が説得しとくからササッと浴びて綺麗にしちゃいなさい」
母さんは楽しそうにそう言って洗面所の扉を閉めた。
確かに雨にも濡れてるし、走ったから少し汗ばんでるのは事実だった。
「そ、そうよね……久しぶりだって言うのに、このまま勉強するよりいいよね」
そうと決まれば急いで浴びなきゃ!
私は急いで制服を脱いで洗濯機に入れ、シャワーを浴びた。
い……一応……念には念をで、いつもより丁寧に体を綺麗に洗っとこ……
シャワーを浴び出たら、いつの間にか母さんは着替えを持ってきてくれてた。 ただ……その着替えがいつも着てるパジャマだった……
「な、なんで普通の服とかじゃないのよ……」
私はパジャマを見ながらそう呟き、でも他に着替えが無いし、かと言って取りに行く訳にも行かず、少し悩んだ末パジャマを着ることにした。
リビングに向かうと、海斗が椅子に座ってお母さんとなにやら話してた感じだったけど、私に気が付き話すのをやめ、こちらに振り向いた。
「れ、麗夏……思ってたより早かったんだね……」
そう言いながら、なぜか真っ赤な顔をした海斗は視線を泳がせ落ち着かない様子だった。
「えっ、そうかな? 普通だと思うけど……そ、それより海斗も早く浴びてきなよ!」
「そ、それじゃ、お言葉に甘えてお借りします!」
一瞬誰と比べて? って聞きそうになったけど、その言葉をグッと飲みこみ、私は少し強めに海斗にシャワーを浴びてくるように言った。
海斗も照れ隠しのつもりか、慌てて洗面所へと向かった。
そんな私達のやり取りを見てた母さんは何故か微笑ましい感じで見ていた。




