2人っきりの勉強会①
麗夏とはバイトの日と土曜日に恋人みたいな日々を過ごし、花音とは学校と日曜日に恋人みたいな日々を過ごし初めて半月が過ぎた頃、俺達は一旦その関係にストップをかけた。
なぜって? テストがあるからだよ……流石に今のままで点数が低く成績が下がるとなると学生として本末転倒だからと、俺が2人に説明したんだ。 2人も渋々だったけど納得してくれた。
これで2週間は一人の時間になる……はずだったんだけどなぁ……
「ねぇ海くん! 今日テスト勉強一緒にしない? 1人でするより2人の方が分からない事とか教えあった方がいいと思うんだよね」
テストまであと1週間になった頃、昼休みに勉強してた俺に花音は、そんなお誘いがしてきた。
「まぁ効率的にはいいと思うけど、流石に2人はアレだろ? 麗夏にも悪いし……」
流石に花音1人だけと一緒の時間を作るのは気が引ける俺は、やんわりと断ろうと思ってた。
「それは……むぅ~」
花音も俺が言いたい事をわかってるらしく、少し眉間に皺を寄せ、頬を少し膨らませ拗ねてる感じだった。
これで花音も諦めてくれるだろう……俺はそんなことを思いながら、またノートに視線を送った。
「そうだ! 麗夏と海くんが2人で一緒に勉強したら──」
俺は花音の口を急いで手で塞いだ。
たぶん自分史上最速で動いてたと自負できるぐらい早かった。 なんて事を教室で言い出すんだ。クラスメイトに聞こえるだろ!?
「落ち着け花音。 そして、そんな大声でそんなこと言わないでくれ。 クラスメイトに聞こえるだろ?」
俺は花音にだけ聞こえるように小さな声でそう言った。 花音はハッと目を見開き、コクコクと無言で首を縦に振った。
「ぷはっ! もう、いきなり口塞ぐからビックリしたよ」
「とにかくこの話はもう終わりだ。 あと1週間なんだから……なぁ花音、何スマホ弄ってるんだ?」
解放された花音は、俺の話を聞きながらスマホを取りだし、何やら文字を打つような操作をしていた。
「えっ? 麗夏に確認の連絡してたんだけど?」
「はぁ!? 今の流れで連絡したのか?」
まじかよ? どう考えても終わる流れだっただろ……
俺が唖然としてたら、花音は「あっ!」とスマホを確認し、嬉しそうに俺に画面を見せてきた。
「えへへ、麗夏もそうしたいって言ってるし、よろしくね」
「まじかよ……」
花音に見せられた画面をただただ見つめながら、花音の言葉にただただ唖然とするしか無かった。
そして放課後、俺は送られてきたスケジュールを見ながら、麗夏と一緒に下校した。
月木土が麗夏と一緒に、火金日が花音と……そして何故か水曜日に天哉となってた。
あのぉ……俺一人の時間は貰えない感じなんだね……てか……なんで天哉まで加わってんだよ!
俺は思わず心の中で親友でもある天哉に思いっきり叫んでしまった。




