前より積極的な幼馴染
正直、ここまで花音が積極的になるとは思ってなかった……
登校中は俺の腕に抱きつき、女性特有の柔らかな感触が片方の腕に常に感じながら登校したし、休み時間とかも隙を見ては、密着しようとして来た……そして今は……
「はい、海くん♪ あーん」
「いや、流石に一人で食べれるから……それに皆も見てるしさ?」
「もう! そんなの気にしなくていいの。 私がしてあげたいからしてるんだし……それとも私にされるのは嫌? もしかして……私よりも……」
「わかったから! は、早く食べさせてくれ」
「もう海くん、そんなに急がなくても、まだまだあるからね? はい、あーん♪」
花音はそう言って、俺の口に卵焼きをいれてきた。卵焼きは俺好みで甘くなく、だしが効いてて美味しかった。
そう、お昼休憩の今もこうやって俺に食べさせてきてるのだ。
「どうかな? 海くんの好きな味付けにしたつもりなんだけど?」
「あぁ、とても美味しいよ。 でもな花音、流石に目の前に天哉と麗夏も見てるから恥ずかしいんだよな……」
俺は、2人に見られながら今昼ごはんを食べさせられてる訳なんだけど……もう、2人の視線が痛いんだよ!
天哉は俺を可哀想に見てくるし、麗夏は凄く睨みつけてくるし……これ絶対見せつける為にやってるだろ花音は……
「2人は今の状況を理解してるんだし、別に気にしなくてもいいんじゃないかな? そうだよね麗夏? まさか私の時間に、私と海君がイチャイチャしてても、文句は言ってこないよね?」
あえて、煽るような言い方で花音は麗夏に確認してた。
「ええ、もちろん今は何も言わないわよ? でも、放課後は花音が何も文句言ってこないでね?」
全く気にしていないかのように麗夏は花音に答えたが、放課後と聞いた花音は、なんのことか分からず疑問を浮かべながら、俺の方を見てきた。
「花音には、言ってなかったっけ? 明日からバイトだから、その前日にバイト先へ行くんだよ」
「そういう事なのね……わかったよ」
そう言って、何処か寂しそうな顔をした花音に俺は、朝と同じように胸が締め付けられる感覚がした。俺は花音になにか言おうと必死に思考を巡らせてたら、いきなり花音が抱きついてきた。
「えっ!? ど、どうしたんだよいきなり」
「いいじゃん♪ 急に甘えたくなったの……今だけだから……」
「あ、あぁ」
途中までは普通に話してた花音は、最後の一言は俺だけギリギリ聞き取れるような小さな声で話してたが、花音の抱きつく力は、その一言を言ってから更に強く力をこめてきて、離したくないって気持ちを俺に必死に伝えてきてるようだった。
俺は何も言えず、花音が置いてた箸を取り、弁当に入ってるタコさんウィンナーを1つ花音の口元へ持って行った。
「俺ばかり恥ずかしい思いするのもアレだから……」
「……なら、あーんって言って食べさせて」
「えっ?」
「私が海君にしてた様に、ちゃんとあーんって言いながら食べさせて。 ダメ?」
そう言いながら花音は俺を見上げ、放課後の事を考え辛くなったからか、瞳を潤ませながら首を傾げて聞いてきた。
俺は少し戸惑ったが、朝俺の家で花音が言ってた事を思い出し、やってあげる事にした。
「わかった……ほら、あーん」
「あーん♪……ふふっ♪」
俺が花音に食べさせてあげると、それを嬉しそうに口に運び、パクっと箸ごと咥え、嬉しそうな笑みを浮かべていた。
俺は、そんなに嬉しかったのかと思いながら、花音が咥えたままの箸をゆっくり引き抜いたら、急に天哉が俺に話しかけてきた。
「お、おい海斗! それは流石にダメだろ!?」
「えっ? されてた事をしてあげただけだぞ?」
「それは別にいいんだよ! そうじゃなくて、なんで同じ箸を使ってるんだって言いたいんだ……」
「えっ? ……あっ!」
同じ箸だから……俺と花音は間接キスした事になるのか……
俺は視線だけでそっと麗夏の方を見たら、持ってる箸がプルプル震え、眉間を少し寄せ頬を膨らませてた。
俺は、背中から冷たく嫌な汗を感じていたが、花音はそんな麗夏に、まるで自慢するみたいに頬を緩ませ、幸せそうな顔を見せつけてるようだった。
さっき花音に言った手前、麗夏は何か言いたくても、ただジッと見ているだけなのだが、麗夏の視線からは、とてつもない怒りと殺意、そして嫉妬が伝わってきた。
「ほ、ほら花音もう良いだろ? 時間無くなるし早く食べようか?」
「なら、次はミニトマトが食べたいな♪ ちゃんとヘタも取ってね?」
「えっ?……あ、あぁわかった……」
俺は箸を使わなくていい事にホッとしながら箸を置き、空いてる片手で器用にミニトマトのヘタを取って、それを指で摘んで花音の口元に運んだ。
だが花音は口を開かず、ただジッと俺の方を見てくるばかりだった。はい……もう1回言わないと口を開かないってことだな……
「ほら、あーん」
「あーん♪ ふぇふぇふぇ♪ 海きゅんの指ごと食へひゃった♪」
そう言いながら花音は俺の指を咥えてたから、俺は恥ずかしくて、口から抜こうとしたが、まるで赤ちゃんがお乳を飲むように吸って来て、なかなか離してくれなかった。
流石にこれは誰も予想してなかったらしく、2人も何が起きてるのか頭が追いついていないようだった……
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