09 折戸ナスは今でも高級品
二月の中旬
小さな農園佐伯ファームに彼らの王国はある。
ナァス、ナァスとナス達の喋る声が聞こえる。
良く耳を傾けないとと聞こえない小さな声で、今日も彼らは愉快にお喋りを始める──
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「折戸ナスってどんなナスなの?僕知らないー」
「説明しよ――」
「黙れジーニナァス!」
「先祖のことくらいここのナスのほとんどが知ってるはず!な、皆?」
「......」
「ナスナス......」
「ナァス......」
「あれ、皆?」
「......。折戸ナスって明治以降百年も栽培が途絶えていた上に、折戸ナスは丸ナスで僕たちは長卵型ナス......何があっても僕らの先祖じゃないぞ?」
「それなーァス」
「「............」」
気まずい空気が流れしばし沈黙。
「「申し訳ございませんでしたぁ」」
「じゃあ改めて折戸ナスの色々な知識を説明しよう......」
「「お願いします!!ジーニナァス様!!」」
「説明しよう!
徳川家に献上されてた折戸ナスなんだけど、栽培が途切れていたんだ。でも国の研究機関から種を譲り受けて、静岡県静岡市清水区の三保で、平成17年に復活したんだ!!」
「今回も完璧だ......」
「や、やるな......」
「ちなみに復活したから、食べることもできるぞ!」
「徳川家と同じ物を食べれるなんて、凄い!」
「一体幾らくらいなの?」
「一個三百円くらいかな......」
「僕らの三倍。高すぎぃー」
「江戸時代の十万だった時よりはましだろう!!」
「「それもそうだな」」
「あと、前にも言ったと思うけど折戸ナスの味は――」
「ナァァァァァァァァァァアアアアス!!」
「そりゃそうだ......って」
「「「「お前は黙ってろ!!」」」」
「台詞にのっけて喋るのは駄目だよー」
「ナァス......」
......今日もナス王国は平和だ。
現代の折戸ナスの値段を、
静岡県静岡市清水区産 折戸なす
折戸ナスについて、
静岡県「折戸なす」|フードアルチザンのおすすめ|フードアルチザン
を勝手ながら参考にさせていただきました。本当にありがとうございます。
作者も折戸ナスは食べたことないので、今度食べてみます。
前にも言った通り味が濃厚らしいです。読者様で気になった方は是非ご賞味ください。お願いします。
(折戸ナスの記事を参考にさせて頂いたため媚びています)
トピック
・現代の折戸ナスは昔に比べると激安
・明治以降百年も栽培が途切れていた
・静岡県静岡市清水区の三保で、平成17年に復活した
・佐伯ファームのナスは長卵形