07 ナスの歴史は奈良時代
二月の中旬
小さな農園佐伯ファームに彼らの王国はある。
ナァス、ナァスとナス達の喋る声が聞こえる。
良く耳を傾けないとと聞こえない小さな声で、今日も彼らは愉快にお喋りを始める──
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「俺らには一体どんな歴史があったんだ......!?」
「説明しよう!
なすはインドを原産とする野菜で、中国、朝鮮半島、東南アジアの各ルートで日本に伝わった。正倉院文書の記述から奈良時代にはすでに日本で栽培されていたことが分かっている」
「「へー」」
「当時の大きさは小ぶりで味も酸味があったらしいぞ」
「「へーー」」
「君たち反応薄いな......」
「いや、まあ、酸っぱいのって美味しいの......?
もっとさ
あぁ、ナス美味しすぎぃ。もぉーマジでヤバい(ハート)
的なのを期待してた」
「そんな、女子高生が言いそうなことが正倉院文書に書いてあるわけないだろう......」
「でも、徳川家康がそうだったと言われている」
「え?今言ったようなヤバい感じのこと言ってたの!?」
「......」
「彼がナスが好きだっただけだよ......」
「へー、あの有名人も好きだったんだ」
あぁ、ナス美味しすぎぃ。もぉーマジでヤバい(ハート)、
みたいなことは言ってないはず。
もぉーとかマジでとかはまだ言葉としてもない......。
「ナスの献上は家康が喜んだらしいよ」
「折戸ナスって言うのを徳川家に献上されていたらしいね」
「親指ほどの大きさだけど味が濃厚だったらしい」
「凄い......」
「美味しいって言ってくれる人が江戸時代からいたんだ。嬉しいね」
「それなーァス!」
......今日もナス王国は平和だ。
【管理栄養士監修】「なす」と「なすび」の違いは何?日本の歴史を調査しました!
を勝手ながら参考にさせていただきました。本当にありがとうございます。
ナスの値段がウリと変わらないことについては次の話で。
折戸ナスについてはその次にします。
トピック
・中国、朝鮮半島、東南アジアの各ルートで日本に伝わった。
・正倉院文書に記載されていたらしい。
・奈良時代にはすでに日本で栽培されていたことが分かっている。
・奈良時代の大きさは小ぶりで味も酸味があったらしい。
・徳川家康もナスが好きだった。
・折戸ナスは親指くらいの大きさ。
・折戸ナスというものが献上されていた。