13 一富士二鷹三茄子の続き
二月下旬
小さな農園佐伯ファームに彼らの王国はある。
ナァス、ナァスとナス達の喋る声が聞こえる。
良く耳を傾けないとと聞こえない小さな声で、今日も彼らは愉快にお喋りを始める──
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「一富士二鷹三茄子の続きあるんだって」
「ヘッヘッへ、てことは僕らより下の奴らだぜ!?」
「さぞ小っさいものなんだなぁ!?」
「そんなもので幸せになれるのかぁ!?」
「縁起の良いものに決まっているだろ......」
一富士二鷹三茄子のは初夢で見るもので縁起が良いものなので、続きならば、四番目五番目六番目に縁起が良いものってこと。かなり縁起が良いものなはずだ。
「四扇≪しせん、しおうぎ≫五煙草≪ごたばこ≫六座頭≪ろくざとう≫って続くんだよ」
「扇だと......?」
「四つ目になってまた斬新なの来たな」
「扇って扇子だよね」
「ああ!」
「そういうことか!」
「「「昔の人ってせんす(センス)が良いんだね!」」」
「こんなにナメたこと言ってるナスより、扇は縁起が良くないのか......」
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「タバコだと....?」
「五つめで好事家に好かれるやつ来たな......」
「それでも!」
「ナスの方が縁起良いってことは!」
「映画でよくあるワンシーンも......!」
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体が傷まみれで瀕死で横たわる漢と、その近くで泣く男がいた。
「おい!......だ、大丈夫か?今すぐ運んでやるから......」
「無理だ、......俺はもうじき死ぬ。すまない......最期に一本くれないか?」
「一本って、タバコだよね。でも、今な、ナスしかないんだけど、良いかな?」
「......ぐはぁ」
「縁起はこっちの方はええぞ!そして......同じナス科の植物だ!!あ、軍曹ー!!」
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「同じナス科の植物で縁起が良いからって......」
「最期の一本が生のナスとか不遇すぎんだろ」
「感動シーンナスでぶち壊すな......」
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「座頭ってなんだ?」
「頭が坊主の人だよ......?」
「それが縁起がいいだと?」
「初夢でハゲ見て縁起良いとか思うやついるのか?」
「まあ!」
「そう言ってる僕たちは!」
「頭にヘタがあるし、ヘタに棘がついてるから!」
「「「ハゲじゃないんだよなぁ!」」」
ヘタにはちゃんとトゲが付いていて髪の毛?っぽい。
「君たち!四五六にはちゃんとした意味があるんだぞ!
説明しよう!
『富士と扇は末広がり』『鷹と煙草の煙は上昇』『座頭とナスは毛がない』といった具合に、「一富士二鷹三茄子」と「四扇五煙草六座頭」はそれぞれ対応しているといった説がある!ナスも実には毛がないからね!」
「き、貴様はジーニナァス!?」
「前回アイデンティティを無くした......」
「うるさいわ!この時のためにちゃんと調べてきたんだよ!」
「「............え?」」
「調べたことただ語ってただけなの?」
「天才じゃないじゃん」
「あ......そ、それは置いといて!
四葬礼、五雪隠や、七丁髷、八薔薇、九歌舞伎と言う確かな情報源のない説もあるんだ!」
「葬礼は葬式、雪隠はトイレ......」
「縁起良くねぇ......」
「物好きが後から加えた洒落に過ぎないだろうと言われている」
「意味ワッカんねぇ!」
「つまんねー!」
「冗句は程程にしとけってことよ!」
「「「......」」」
それ、自分等自身のことじゃん......!?
......今日もナス王国は平和だ。
・日本気象協会
・大島建彦 [ほか] 編. 日本を知る事典. 社会思想社, 1994【GB8-G15】
・レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
を勝手ながら参考にさせていただきました。本当にありがとうございます。
トピック
・一富士二鷹三茄子は縁起が良い初夢とされる。
・一富士二鷹三茄子に続きがある。
・タバコはナスと同じナス科
・ナスのヘタには棘がある。
↑外敵から身を守るためだそう




